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金融庁実態調査で浮かび上がる銀行カードローンの現実



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今年3月から銀行カードローンに対する金融庁の実態調査が行われてきました。
今回、金融庁実態調査の内容が明らかにされましたが、その内容からこれまでの銀行カードローンの現実が浮かび上がってきました。本項では銀行カードローンに対する最近の経緯を踏まえた上で、銀行カードローンの現実と将来像について考えます。


カードローン、9割の銀行が融資上限 金融庁調査
https://www.asahi.com/articles/ASL8Q62CML8QULFA01G.html


銀行カードローンに対する最近の経緯を見る

 

もともと、金融庁は銀行カードローンと消費者金融会社のカードローンの商品性は同じながら、銀行カードローンに対する信頼感と消費者金融会社のカードローンに対する信頼感には大きな差を付けていました。
つまり、銀行カードローンに対しては銀行法金融商品取引法の精神を包括的に課しながらも、消費者金融会社カードローンに対する貸金業法の総量規制の様な直接的な規制は行なってきませんでした。それは、「銀行はカードローン事業に於いても健全に運営する筈だ」という金融庁の銀行に対する信頼感から来ていました。

ところが、その様な金融庁の銀行に対する信頼感はアッサリと裏切られました。
2006年以降、貸金業者による消費者向け貸付残高は大幅に減少する一方で、銀行カードローン残高は増加のトレンドを強めました。銀行カードローンが健全運営で増えていたのなら良かったのですが、一部で過剰な貸付けが行われているのではないかとの批判が高まりました。そして、2016年に個人の自己破産申請件数が13年ぶりに増加に転じたことで、銀行カードローンに対する風向きは完全にアゲンストになりました。
2017年4月には日本弁護士連合会が銀行業界に「カードローン過剰融資」を控えるように意見書を出しました。
これを受けて全国銀行協会は「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を行い、各銀行ではこれらを踏まえた業務運営の見直しを検討・実施してきました。
いわゆる、銀行カードローンの自主規制の始まりです。


金融庁実態調査の内容

 

つまり、銀行カードローンの自主規制はあくまでも建前であり、本当のところは金融庁による銀行カードローンの規制だった訳です。そこで、金融庁は銀行カードローンの規制がどこまで効いているのかを確かめるために、銀行カードローンの業務運営の詳細な実態把握を進めるとともに融資審査の厳格化等・業務運営の適正化をスピード感を持って推進するために、2017年9月以降に残高の多い先を中心とする12行を対象に検査を実施(残高全体の約6割をカバー)してきました。
そして、今年1月に検査結果を「中間とりまとめ」として公表するかたわら、3月には銀行カードローンの取扱いのある銀行のうち検査実施先以外の全銀行(108行)に対しても、調査票を出し業務運営の見直し状況を調査してきました。
その主な内容は以下の通りです。

まず、銀行カードローンには融資上限枠はないのかとも言われましたが、金融庁の調査では融資の限度枠を設定していた銀行は全体の88%にあたる93行で、59行(56%)は他行分も含めた融資額を借り手の「年収の2分の1」まで9行(8%)は「同3分の1」までとしていました。つまり、2017年のある時期から大半の銀行は融資上限枠を設定していたことになります。
次に殆どの銀行が200万円以内は必要なかった「年収証明書」についてですが、現在は96行(91%)が50万円超を貸す際には提出を求めるようになっています。
また、営業店担当者に対して数値目標等を設定している銀行は、申し合わせ前の19行から申し合わせ後は9行まで減少しています。
つまり、銀行カードローンの支店や営業マンに対するノルマの設定が減っており、数値目標による業績評価を見直す動きが見られます。


銀行カードローンの将来像を考える

 

これらの金融庁の銀行実態調査の内容から近未来の銀行カードローンの将来像が見えてきます。まず、融資上限枠については設定していない銀行のほか融資上限枠を設定していても他行・他社カードローンを勘案していない銀行も見られますが、今後は大部分の銀行が他社分も含めて「年収の2分の1」か「同3分の1」までにすると考えられます。
次に多重債務の発生抑制の観点から融資実行時のみならず途上管理において、顧客の返済能力の変化を適時適切に把握することが重要となっています。
つまり、利用者側から見る限り融資実行後の途上管理が厳しくなり、延滞などに対するペナルティーが厳しくなることが予想されます。
また、支店や 営業店担当者に銀行カードローン契約の数値目標をなくすことで、顧客のニーズに合致しない過度な営業推進が減る可能性が高く、この様な数値目標を設定している銀行は業績評価制度を見直すことになります。
最後に今後は 銀行カードローンだけではなく、フリーローンをはじめとする銀行のその他の消費者向け無担保貸付においても同様の規制強化が行われそうです。
いずれにしても、利用者から見ると規制が強化されることは間違いありませんが、
これらの規制強化は仕方ないにしても、せめて銀行カードローンの適用金利の引き下げを希望したいところです。 

銀行カードローン、5割超が年収の2分の1上限 金融庁調査 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34454140S8A820C1EE9000/

銀行にカードローンを取り扱う資格はあるのか~実態調査結果~
https://www.financepensionrealestate.work/entry/2018/08/24/210300