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他人事ではなくなってきた相続放棄の現実

自分の実家には特に目ぼしい財産がないから相続や相続放棄は関係ないと思っている人も多いですが、中には親から田舎の実家を相続する人もあるでしょう。
ところが、田舎の家は維持費が高く廃屋化した場合には地方自治体から数百万円もの撤去費用を請求されるなどの例もあります。
したがって、実家だから仕方なく相続するというのは時代遅れの考え方です。また、絶対に借金とは無縁と思っていた両親に借金が100%無いとも言い切れない時代にもなってきました。高齢者の自己破産や多重債務が増えているからです。
少なくとも今後、爆発的に老人が増える日本社会に於いて、相続や相続放棄は他人事ではなくなってきたのが現実の世界なのです。


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相続放棄のメリット

 

そもそも、相続放棄とは法定相続人となった場合に初めから相続人ではなかったことにする手続を意味しますが、法定相続人とは遺産相続が起きたときに相続人になるべき人のことを指します。通常、配偶者は常に法定相続人となりますから配偶者については特に順位がつけられることはありません。また、配偶者以外に法定相続人がいない場合には配偶者のみが法定相続人となりますし、配偶者と他の相続人がいる場合には配偶者とその相続人が法定相続人となります。
そして、配偶者の次の法定相続人の第1順位は被相続人の子どもで、被相続人に配偶者や子どもがいない場合の第2順位の法定相続人は被相続人の親になります。
また、第3順位の法定相続人は被相続人の兄弟姉妹でここまでが法定相続人と言われます。したがって、相続放棄とは第3順位までの法定相続人が相続人ではなかったことにする手続を意味します。

相続放棄のメリットの1つ目は被相続人の借金を相続せずに済むことが一番のメリットです。ただ、被相続人の借金だけを相続しないで財産は相続することはできず、被相続人の財産+借金全てについて相続しないという選択が相続放棄ということになります。
相続放棄のメリットの2つ目は遺産分割協議に関わらなくても良いという点も挙げられます。相続放棄家庭裁判所を通して正式に一切の財産を引き継がないことを宣言するわけですから、その後の遺産分割協議に参加する必要性はありません。
仲の悪い兄弟などと泥沼の遺産分割協議をしたくない場合などが考えられます。


相続放棄のデメリット

 

一方、相続放棄のデメリットの1つ目は相続放棄することで、借金を相続することは無くなりますがプラスの財産も相続することができないという点が挙げられます。
遺産相続の最初から借金よりもプラスの財産の方が多いと解っていれば相続放棄する人はいませんが、現実には相続放棄した後でプラスの財産が見つかるケースが少なくありません。
相続放棄のデメリットの2つ目は自分の相続放棄により親族に思わぬ迷惑をかけることがあることです。例えば、第1順位の法定相続人(子供)が全員相続放棄をすれば、相続権は第2順位(親や祖父母)に移ります。また、第1順位と第2順位の法定相続人全員が相続放棄すれば、相続権は第3順位(兄弟姉妹)に移ることになります。
したがって、相続放棄する場合は放棄したことにより次に相続権を持つ人に、「負債も含め相続権が移ること」を伝えてあげるべきです。


相続放棄の手続は簡単

 

相続放棄の手続は意外に簡単で相続人は相続が発生した(被相続人が死亡したことを知った)日から原則3か月以内に、被相続人(故人)の住所があった地域の家庭裁判所に「相続放棄申述書」と戸籍謄本などを提出すれば良いのです。
その後、家庭裁判所から自宅に「相続放棄照会書」が郵送されてきますので、必要事項を記入して送り返し裁判官が受理すれば手続き完了となります。
この様な手続きを自分でやれば費用は印紙代の800円と切手代のみで済みますが、手続きが面倒と思う人や念のために弁護士や司法書士に依頼する場合は10万円程度の費用が相場です。ただ、相続発生を知ってから3か月を超えた場合の相続放棄家庭裁判所で裁判官の審問を受ける場合もありますから、相続放棄専門の弁護士に依頼した方が良いでしょう。


相続放棄ケーススタディ・借金が多い場合

 

被相続人(故人)に借金があった場合は相続人は明らかに相続放棄をすべきです。
また、最近は多重債務者や自己破産者の中の高齢者の割合が増えていますが、その殆どは浪費や贅沢な生活によるものではなく収入の減少や解雇・病気・無年金などの理由で生活費が足りなくなったケースです。つまり、家族や周囲の人間に借金問題を隠している場合が少なくありませんから相続人にとっては厄介な話なのです。
さらに、被相続人(故人)に明らかな借金がなくとも過去に経営していた会社や店が潰れている場合は要注意です。特に、事業に於ける債権・債務関係は複雑な場合もありますから、表向きは債務が無い様に見えても隠れ債務が残っている場合が考えられます。
つまり、相続財産から負債を差し引いて明らかに相続財産の方が多い場合を除き、
念の為に相続放棄を選択した方が良いケースも増えています。


相続放棄ケーススタディ・田舎の実家を相続する場合

 

一昔前までは土地や建物を相続することは人が羨むことでした。しかしながら、現在は土地や建物を相続することは必ずしも羨ましいことではなくなってきました。
何故なら、人口の減少と大都市への集中化により、特に地方に於いては人が住まない家や街が増えているからです。また、都市に於いても老朽化したマンションは限界マンションなどと呼ばれ資産価値がなくなりつつあります。
したがって、土地や建物を相続しても資産価値がなくなればコストの負担ばかりがのしかかることになりますので、相続する段階で相続するのか相続放棄するのかを良く考える必要が出てきます。不動産は一度、所有してしまうと不動産の所有権放棄はできませんから、売却するか寄付するしかなくなるからです。
しかしながら、住まない家や街の土地建物や都市部の限界マンションは、買い手がありませんし寄付も喜ばれません。

以下で田舎の実家や都市部の限界マンションを相続した場合のコストと注意点を考えます。まず、田舎の実家を相続した場合は固定資産税に加えて草刈りや住宅のメンテナンスなど維持コストが掛かります。庭の草が伸び放題になると近所からの苦情が来るので草刈り費用もバカにはなりません。半年に一度で1回5万円~7万円程度の費用が考えられます。また、家屋を解体する場合の解体費や帰省の交通費も掛かります。
一方で限界マンションを相続した場合のコストは、管理費や修繕積立金が真っ先に思い浮かびます。また、築40年・50年のマンションとなると大規模修繕費用も想定に入れる必要が出てきます。


現実的な相続放棄の考え方

 

そこで、「相続すべきか放棄すべきか」のより現実的な考え方として、相続する資産全体に占める不動産の割合が2割以下か否かということが一つの目安になってきます。
つまり、金融資産が8割で不動産が2割以下なら相続をしても良いということになり、
不動産が2割を超えている場合は不動産の維持コストが金融資産を食いつぶす可能性もあり相続放棄を検討した方が良いとなります。したがって、不動産だけの相続や相続する金融資産が500万円に満たない場合は相続放棄を検討した方が良いでしょう。
固定資産税や家屋の解体・マンションの大規模修繕などで500万円程度ならアッと言う間に飛んでいく可能性が高いと言えます。
ただ、田舎の実家や都市部の限界マンションを相続放棄しても、土地建物の管理義務を免れない場合も出てきます。
つまり、相続放棄で固定資産税は無くなりますが、相続放棄した不動産の相続人が決まるまでの間の管理費用が掛かる場合が出て来ます。いずれにしても、相続放棄は相続する資産の全部を放棄することで、一部だけを相続するという良いとこ取りは通用しません。したがって、広い視点で相続財産全体を見ることが大切で、不動産だけの相続や相続する金融資産が不動産の維持・管理・処分コストなどを上回っているか否かを見極める必要があると言えます。


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