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多重債務者の借入先が消費者金融会社から銀行に移っている



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金融庁によりますと消費者金融など5社以上から借り入れのある多重債務者は2018年3月末時点で8.6万人となり、改正貸金業法が成立した2006年度以降、過去最少となったということです。つまり、2018年3月末時点の多重債務者数が2006年度(116.9万人)の7.3%まで縮小したと言うのです。
果たして本当に多重債務者数がこの様に劇的に減少しているのでしょうか?大きな疑問を持ちながら最近の多重債務者問題を探ります。


多重債務者、過去最少に 改正貸金業法成立以降
http://www.jc-press.com/?p=1373


金融庁は多重債務者が改正貸金業法成立以降、過去最少となったと発表

 

金融庁によりますと複数債務を抱える多重債務者が改正貸金業法成立以降、過去最少となり、5社以上から借り入れのある多重債務者は2018年3月末時点で8.6万人で改正貸金業法が成立した2006年度(116.9万人)以降、過去最少となったということです。
この数字は前年度比で1千人の減少となり2006年度の116.9万人の7.3%まで縮小したことを意味します。また、1人当たりの借り入れ残高は53万円で前年度比2千円の増加、直近5年間の借り入れ残高は52.4万~53万円の範囲で推移し金融庁は「ほぼ横ばいとなっている」と説明しました。
一方で減少傾向だった自己破産申立件数が2016年に増加に転じたことも報告され、カードローン残高の増加との関連性を指摘するとともにカードローン債務者数を統計に反映させるよう求める意見も出たということです。


近年の多重債務者の特徴

 

もともと、多重債務者の統一的な定義はありません。一般的には複数の金融機関や貸金業者から借り入れがあり返済に困っている人を意味しますが、上記の金融庁が定義する多重債務者は消費者金融などから5件以上借り入れのある債務者を多重債務者と定義しています。
ただ、一般的には多重債務者とは2社以上の金融機関や貸金業者から多くの借金を抱え金銭的に困窮している人のことを意味し、以下の様ないくつかの問題点を抱えていると言えます。

①複数の金融機関から借り入れを行なっている
複数の金融機関から借り入れを行なっている人でも、計画通りに返済を行なっている人は多重債務者ではありません。つまり、複数の金融機関から借り入れを行ない、かつ、1つの金融機関の借り入れ上限を超えているほどの大きな借金をしているか返済が滞っていることが考えられます。
②毎月返済を続けても借金総額が減っていない
例えば、年利15%の金融機関3社から100万円づつ合計300万円借りていた場合、毎月の1社あたりの利息は12,500円で3社合計で利息だけで毎月37,500円を払わなくてはなりません。加えて元金の返済が加わりますから毎月返済を続けても借金総額がなかなか減らない訳です。
③借金返済で頭が一杯で本業に集中できない
タイトな資金繰りの中で毎月2社~3社以上の返済日にお金を揃えることは並大抵のことではありません。その結果、借金返済で頭が一杯になり本業に身が入らず、職を失う人も少なくないのです。

上記の様な特徴を持つ多重債務者ですが個人信用情報機関の日本信用情報機構の発表によりますと、2017年2月時点で貸金業者2社以上から借金をしている債務者は全国に352万人も存在しているとのことです。
金融庁によりますと消費者金融など5社以上から借り入れのある多重債務者は2018年3月末時点で8.6万人と言うことですが、2社以上から借金をしている352万人の債務者の中にも多くの多重債務者がいると考えられます。
つまり、自己破産を申し立てる人は2016年の裁判所の司法統計よりますと年間64,637人ですから、少なくとも自己破産者の10倍の60万人程度の多重債務者はいると考えられるからです。


金融庁のバイアス統計は間違いのもと

 

したがって、多重債務者の定義は消費者金融など5社以上から借り入れのある債務者ではなく、銀行や消費者金融会社など2社以上から借り入れがあり返済に窮している債務者と考えるべきです。金融庁が言う様に消費者金融など5社以上から借り入れのある債務者に限定すれば確かに数は減ります。
しかしながら、実際に貸金業者2社以上から借金をしている債務者は全国に352万人も存在していることや、多重債務者の一部が行き着く自己破産の申請者は2016年の裁判所の司法統計よりますと年間64,637人という事実からも、金融庁が言う多重債務者が改正貸金業法が成立した2006年度以降、過去最少となったという見方は間違っていると言えます。つまり、多重債務者を消費者金融など5社以上から借り入れのある債務者に限定するのは間違いで、2社以上から借り入れがあり返済に困っている人は全て多重債務者と考えた方が良いでしょう。
金融庁の立場として改正貸金業法が成立した2006年度以降に多重債務者が減ったということを強調したい余り、大きなバイアスを掛けた統計で事実を見誤っては何の為の消費者行政か解りません。金融庁は即刻、この様なバイアス統計の発表を止めるべきです。


多重債務者が消費者金融会社から銀行に流れている

 

そして、本質的なもう1つの問題点は貸金業法の規制(総量規制)対象外である銀行カードローンが急増していることで、消費者金融会社などの貸金業者で総量規制に引っ掛かった顧客が総量規制の無い銀行カードローンに流れているという事実です。
直近、2017年3月末の銀行カードローンの残高は三井住友銀行6499億円・三菱東京UFJ銀行4352億円・楽天銀行3861億円・新生銀行2482億円で、2014年3月末と比べて三井住友は1716億円・三菱東京UFJは1878億円・楽天銀は1314億円増・新生銀は1294億円も増加しています。
つまり、消費者金融会社などの貸金業者から銀行カードローンに、一般顧客や多重債務者が流れていることは間違いないのです。

もともと、消費者金融会社などの貸金業者の審査よりも銀行カードローンの審査のハードルが高かった時代が長く続きましたが、現在は銀行が多くの消費者金融会社を傘下に収めたことで両者の審査のハードルに差が無くなりました。
その結果、現在は顧客から見ると総量規制が無いことで実質的には銀行カードローンの方が審査のハードルが低いと言え、貸金業者から借りられなくなった多くの顧客が銀行カードローンに流れています。この中の何割かは多重債務者が占めており、新たな多重債務者の温床となりつつある銀行カードローンの利用者に加え潜在的な多重債務者も増えているのです。
したがって、消費者金融会社など5社以上から借り入れのある人を多重債務者と定義している金融庁の見方は見当違いも甚だしく、銀行と消費者金融会社を含めて2社以上から借り入れのある人を多重債務者と認定する必要があります。
そうすれば、改正貸金業法の施行により多重債務者数が減少傾向にあるという様な見当違いの見方は無くなる筈です。金融庁には組織の宣伝よりも利用者の本質的な利益を考えて欲しいものです。

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