借金を考察するブログ

「債務整理の森」の執筆担当が借金ニュースについて考察するブログ

アディーレ問題を機に弁護士のCMを考える

アディーレ法律事務所が10月11日に2ヶ月間の業務停止処分を受けて既に3週間が経過します。今回のアディーレ問題の発端は消費者庁が「景品表示法違反(有利誤認)に基づき再発防止を求める措置命令」を下したことですが、アディーレはテレビコマーシャルを使い着手金を値引きしたりするキャンペーンを1ヶ月限定と言いながら4年間も同キャンペーンを継続していました。
また、アディーレは法律事務所のテレビコマーシャルとは思えない様なテレビコマーシャルを多用し、東京弁護士会や他の事務所の反発を買うことも多かったのです。
本項では今回のアディーレ問題を機に弁護士事務所のテレビコマーシャルについて考えます。


アディーレ「手段の悪質性際立つ」と認定 東京弁護士会の懲戒委員会 処分理由の詳細判明http://www.sankei.com/smp/affairs/news/171030/afr1710300001-s1.html

「“手に職”は食いっぱぐれない」は昔の話!? 弁護士・歯科医師のウラ事情
https://ddnavi.com/review/409250/a/


弁護士事務所のテレビCMなどの広告は2000年10月に解禁された

 

最近、テレビを見ていると弁護士事務所や司法書士事務所のテレビコマーシャルが増えている様に感じますが、弁護士事務所などのテレビCMなどの広告は2000年10月に解禁され今年で17年目になります。もともと、医師や弁護士は共に高度な知識と技能を必要とする専門的職業であり公共的性格の強いサービスですから、テレビコマーシャルなどの広告は馴染まない業種と考えられてきました。
ところが、最近の規制緩和の流れはこうした分野にまで及んできており、弁護士の業務広告は2000年10月の日弁連の会則および規定の見直しによって原則自由になりました。
また、公認会計士行政書士司法書士土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士弁理士と合わせて8職種の広告が原則自由に行えるようになっています。
ただ、これらの職種は法律により業務独占が認められた事務系の専門職種ですから、資格者は資格者団体への入会が義務付けられており団体で様々な自主規制を課しています。

今回の東京弁護士会によるアディーレ法律事務所の業務停止処分も、一般の業会団体では考えられない様な厳しい処分ですが弁護士会にはその様な権限が与えられているのです。ちなみに、現在、弁護士会が課している弁護士広告の規制内容は、各事務所の得意分野の紹介や料金も弁護士会があらかじめ決めた報酬規定の範囲内で示すことができますが、勝訴率の掲示や他の弁護士との比較・訪問や電話による勧誘は禁止され違反者には制裁があります。
また、以下の事項が禁止されています。
事実に合致していない広告
誤導又は誤認のおそれのある広告
誇大又は過度な期待を抱かせる広告
法令又は日本弁護士連合会もしくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告
さらに、原則として表示できない広告事項は以下の通りです。
訴訟の勝訴率
顧問先又は依頼者名
受任中の事件
過去に取り扱い又は関与した事件


弁護士広告解禁の背景

 

世の中の規制緩和の流れの中で弁護士事務所の広告は2000年10月に解禁され訳ですが、
弁護士広告解禁の最も考えられる理由は弁護士数が増えている現実です。司法試験制度は2006年から2011年までの制度移行期を経て、現在は新司法試験制度が定着しています。
司法試験制度改革にはいくつかの目的がありましたが、最大のポイントは弁護士数を増やすということでした。欧米諸国に比べて人口当たりの弁護士数は明らかに少なく、
今後、米国流の訴訟社会を迎えるに当たり弁護士数を増やす必要があった訳です。
制度改革より司法試験の合格者数は2006年度の1,009人から2012年度には2,102人に倍増し、 直近の2016年度は1,583人と制度改革前の1.5倍から2倍の水準を維持しています。

したがって、我が国に於いても依頼者が弁護士を選ぶ時代が到来しており、それらの動きが背景となって弁護士広告が解禁されたと考えられます。つまり、依頼者から見ると専門性の高い腕利き弁護士に依頼したいという心理は当然のことですから、選ぶ材料としてネットのWEBサイトやテレビコマーシャルの存在意義があると言えます。
つまり、売れっ子の腕利き弁護士は高い報酬を得ていますが、一方で難関の司法試験を突破したにもかかわらず就職先が見つからず独立開業しても年収100万円を切ってしまう様な弁護士も増えています。したがって、玉石混交の弁護士の中から、ネットのWEBサイトやテレビコマーシャルなどから最適な弁護士を見つけなければなりません。

また、弁護士報酬も規制緩和で自由化されており、以前は全面勝訴でも依頼者の得た利益の約24%以内と決められていました。現在は規制がなくなり自由化されていますので、依頼者の取り分の半分を要求する弁護士も出て来ています。
つまり、医者にヤブ医者がいる様に弁護士にも使い物にならない弁護士も増えていますので、依頼者側も弁護士の名刺だけを鵜呑みにしない選択眼が求められます。


アディーレ依頼者の争奪戦は既に終盤戦へ

 

その意味でアディーレ法律事務所は旧来の弁護士会や弁護士制度に風穴を開け様としてきたと言えますが、出る杭は打たれるのが我が国の現状で打たれて終わるのか、或は、カムバックできるのか注目したいところです。
現在、アディーレ法律事務所が10月11日に2ヶ月間の業務停止処分を受けて既に3週間が経過しますが、アディーレの業務停止を絶好のチャンスと受け止める弁護士事務所も少なくありません。
弁護士事務所大競争時代を迎えアディーレ依頼者の争奪戦は既に終盤戦との見方も出ています。アディーレの依頼者はアディーレ法律事務所の2ヶ月間の業務停止により、
一度はアディーレとの契約を白紙に戻さなければなりません。
アディーレはもう懲り懲りという依頼者も少なくありませんが、いずれにしてもアディーレとの契約を白紙に戻した後に、新たな弁護士かアディーレの弁護士との個人契約を結ぶ必要が出てきます。
そこで、現在、アディーレの業務停止を絶好のチャンスと受け止める弁護士事務所が多数現れており、ネットのWEBサイトにその旨を記した弁護士事務所も多く見られます。
アディーレに債務整理手続を依頼した人達は本当に気の毒ですが、次に良い弁護士事務所を選ばれることをお祈りします。


アディーレ法律事務所、契約解除手続きをネットで公表 問い合わせ殺到、混乱収まらず
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/171019/cpb1710191948004-n1.htm