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「債務整理の森」の執筆担当が借金ニュースについて考察するブログ

債務整理依頼者を置き去りにした東京弁護士会の対応

一連のアディーレ法律事務所の業務停止問題で一番の被害を受けているのは、まぎれもなくアディーレに債務整理手続を頼んだ3万人とも5万人とも言われる依頼者達です。
アディーレが業務停止になったのは10月11日からですが、半月以上も経過した現在も混乱が続いています。現在の状況と今後の対応について考えます。


アディーレ業務停止で東京弁護士会が依頼人置き去りのずさん対応
https://www.oricon.co.jp/article/328994/


業務停止後のアディーレ法律事務所の対応

 

アディーレは業務停止になった10月11日から、同事務所と委任契約を結んでいる依頼者に対して今後の対応に関する書面を発送中です。ただ、アディーレは依頼者やメディアに対する電話やメール対応を一切シャットアウトしてきました。
そればかりか、アディーレのホームページが削除されただけではなく、池袋のサンシャインビルにある事務所も閉鎖されています。
つまり、アディーレの依頼者から見るとアディーレからの書面を待つしか連絡の手段は無い訳で、自分から電話を掛けることさえできない蛇の生殺し状態なのです。
特に、債務整理手続をこれから開始する筈の依頼者で、費用を前払いした依頼者は気が気では無い筈です。なけなしのお金で費用を払いやっと債務整理ができるかと期待しているところに、想定外の法律事務所の業務停止に遭遇した訳ですから。
今回、アディーレが業務停止になってから1週間を経過しても何の連絡も貰えなかった依頼者に対して、やっと、10月19日にアディーレのホームページにお詫びと契約解除の案内が掲載されました。
弁護士会からの業務停止処分についてのお詫びと契約解除の状況に関してのご案内」https://www.adire.jp/


10月19日にアディーレが出したお詫びと契約解除の案内要旨

 

アディーレは今回の「弁護士会からの業務停止処分についてのお詫びと契約解除の状況に関してのご案内」の中で、業務停止処分を受けた日より本日までWebサイトや電話など一切の案内をすることができなかったことを詫びています。また、今回、東京弁護士会よりの依頼で業務停止後の事務処理状況をWebサイトに掲載したということです。
以下、アディーレが出したお詫びと契約解除の案内要旨です。

①書類送付について
現在、委任契約解除のための書面を送付している状況で、10月19日の時点で手元に届いていないという方は連絡して欲しいとのことです。
②電話について
現在、電話回線を増設の上、可能な限り速やかに、現在の電話がつながらない状況を解消したいとのことです。
また、書面にアディーレから電話があるとの記載があった方は暫くお待ちくださいとのことです。
③アディーレに支払った着手金について
アディーレに支払った着手金については案件に関する手続きの進行度合いに応じて精算するとのことで、
委任した事件や案件の進行度合いにより異なるとのことです。
④今後の対応について
A自身で対応する方法
B新たに他の弁護士を委任する方法
Cアディーレ所属弁護士を個人として委任する方法
依頼者の今後の対応については上記のA~Cから選ぶことができます。
その場合、BとCの場合はアディーレに預けた資料や預り金は、アディーレから次の弁護士に引き継いでくれるとのことです。したがって、その旨をアディーレ側に知らせる必要があります。また、業務停止期間後に再びアディーレに依頼することはできますが、現在の契約を維持して業務停止期間の終了を待つことはできません。
また、既に裁判所で審理が進んでいるケースについては、既にアディーレが業務停止となったことは各裁判所に通知されており、直近に設定されていた期日については休止・延期等となっています。したがって、Aの自身で対応する場合は各裁判所に確認する必要がありますが、BとCの場合は新しい弁護士が確認してくれます。


アディーレの依頼者が今後、取りうる行動は状況により異なる

 

①着手金について
今回、アディーレは「返還する着手金は合計数十億円に上るが時間はかかっても確実に返金する」と明言しています。したがって、大部分の着手金は返還されると思われますが、今回、アディーレは「案件の進行度合に応じて精算させていただきます」と述べています。つまり、返還はするが全額返還するとは言っていません。したがって、個々の細部を詰めなければなりません。

②過払い金返還などで既に合意して支払いを待つのみだったケース
現在、アディーレの業務停止処分に伴いアディーレの口座に振込ができなくなっています。したがって、自身もしくは新たに選任する弁護士により相手方に連絡をし、振込先の指定口座を変更しなければなりません。

③時効が近い依頼者
時効成立までに訴訟提起等、適切な措置を取る必要がありますので、時効が近い依頼者は早めに弁護士に相談する必要があります。

④任意整理などの和解未了の場合
アディーレの辞任により債務者本人に金融業者側から連絡が来る可能性があります。
したがって、新たに委任した弁護士より受任通知を送付することで交渉窓口を債務者から弁護士に変更することができますので、新たな弁護士の選任を急ぐ必要があります。

⑤任意整理で返済中の場合
和解済で約定の分割支払いを継続中の場合は、合意した条件に従い弁済を行う限り債務者自身に連絡が来ることはありません。別途、アディーレが案内する書面に従い支払いを継続する必要があります。 また、任意整理で和解が成立し毎月アディーレに任意整理原資を入金していた場合は、アディーレより債権者ごとの振込先と入金額を記載した書面を送付するとのことですので、自身で振り込む場合にはそちらに振込むことが必要になります。アディーレから債権者への支払期限は毎月末日となっており、2回分の支払いを遅延した場合は残金を一括請求される恐れがあります。
したがって、和解成立時の合意書の内容を再度確認し遅れのないように支払う必要があります。


東京弁護士会の対応にも問題点が山積

 

もともと、今回のアディーレ問題で第一義的な責任があるのは、言うまでも無くアディーレ法律事務所です。アディーレがホームページに出していた広告が改正前不当景品類及び不当表示防止法に違反していたと消費者庁が判断し、この広告を消費者に誤解を与える有利誤認表示だと断定したからです。
アディーレは1カ月間限定の着手金無料キャンペーンを実際には数年にわたって行っていたからです。この様な期間限定のキャンペーンを実際にはずっと継続して行う戦略は、一般的にはよく行なわれています。街でよく見かける「閉店セール」という看板がありますが、何割かの店は「閉店セール」をずっと継続しています。
また、消費者金融会社が1ヶ月限定の無利息キャンペーンを長く継続している例もありました。
しかしながら、この様な問題含みのキャンペーンを法律事務所が行ったのは初めてで、
消費者庁が有利誤認表示だと断定し東京弁護士会が「弁護士法人として品位を失うべき非行」だとして、業務停止処分を下したのは理解できます。

ところが、3万人とも5万人とも言われるアディーレの依頼者に対して、東京弁護士会の対応が甘かったことは間違いありません。法律事務所を業務停止にすれば委任契約は解約され着手金の一部が返還されることを東京弁護士会は百も承知していた筈ですが、
東京弁護士会は十分に対応策を用意しないまま業務停止処分を下しました。
一応、東京弁護士会は電話相談窓口を開設しましたが、問い合わせ用電話番号を一つ開設しただけで対応要員もわずか10人程度という有様でした。
処分翌日だけでも約3万4000件の電話が鳴ったということで、事態を呑み込めないアディーレの依頼者は東京弁護士会の電話相談窓口に殺到しました。
借金の返済に窮してアディーレ法律事務所に相談した依頼者が、困り果てて何度も電話相談窓口に電話する姿が想像されます。

この様な事態をどうして東京弁護士会は予想できなかったのでしょうか?
また、予想しようとしなかったのでしょうか?
これでは、もともと、新興の法律事務所だったアディーレ法律事務所を、東京弁護士会が潰しに掛かったと見られても仕方がありません。アディーレの石丸元代表弁護士は東京弁護士会の会長選挙に立候補するなど、守旧派の弁護士達から見ると目の上のたん瘤だった筈です。
確かに、アディーレは少しやり過ぎたかもしれませんが、一方で依頼者を待っているだけで仕事が取れた旧来の弁護士事務所のビジネススタイルに対して、アディーレが風穴を開けたことは間違いありません。また、弁護士事務所の無い地域にアディーレが多くの支所を開設し、特に、地方の依頼者の利便性に貢献したことも間違いのないことです。したがって、今回の問題で東京弁護士会は気に入らない新興勢力を潰すだけに終わることなく、アディーレ法律事務所の良い点からは学ぶ姿勢が求められます。


アディーレ業務停止処分・他の事務所の弁護士から疑問も
http://news.livedoor.com/article/detail/13777830/