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ベーシックインカムが普及すれば自己破産者はいなくなるかもしれない

当ブログ9月30日の「今後10年で高齢者間の格差拡大が進み3割は生活困窮者へ」(http://diary.債務整理評判.xyz/entry/2017/09/30/125016)に於いて、
高齢者の貧困や破産対策としてベーシックインカムが一つの選択肢になることを指摘しましたが、今回の衆議院選挙で希望の党が公約にベーシックインカムを入れたことでベーシックインカムに対する議論が増えてきました。
すでに、アメリカやスイスなど海外に於いては議論から検証の段階に進んだ国もあり、
今後の高齢者の貧困や破産対策・先進国の新たな社会保障の考え方として一石を投じそうです。


27歳の最年少市長が主導、市レベルで初となるベーシック・インカムの導入実験
https://www.businessinsider.jp/post-106148


そもそも、ベーシックインカムとは?

 

そもそも、ベーシックインカムとは「全ての人に生活に最低限必要なお金を無条件に支給する制度」を意味します。つまり、現在、先進国を中心に世界的な議論を呼び起こしている新しい社会保障制度がベーシックインカムで、特に、北欧やスイスなど社会保障が充実した国で、ベーシックインカムに対する興味が高まっていることが大きな特徴です。
現在、我が国の社会保障制度は年金・医療・介護などを中心に様々な福祉メニューが用意されています。また、子育て支援生活保護に加えて様々な税金の控除もあります。
つまり、良く言えば豊富なメニューが用意されている訳ですが、複雑過ぎて必要な人に恩恵が届いていない側面も目立ちます。その意味でベーシックインカムの様なシンプルで公平・公正でコストの掛からない制度が注目されています。

また、背景としては現在の社会保障制度の限界や矛盾が高まっていることが上げられます。近年、富が大企業や一部の富裕層に集まり格差が拡大する傾向が強まっていることも背景になっています。さらに、近い将来、人工知能AIをはじめとするテクノロジーが進化し、人の仕事が機械に置き換えられることで失業者が急増するという予測もベーシックインカム導入を後押ししています。
その結果、スイスでは否決されましたが国民投票で「生活に最低限必要なお金を支給するベーシックインカムの導入」の是非を問うところまで進み、フィンランドや米国でベーシックインカムの大規模な実証実験が行われています。ただ、我が国に於いてはベーシックインカムが大きな話題となったのは、今回の希望の党の選挙公約に持ち込まれてからが初めてです。


日本でベーシックインカムを実現できるのか?

 

正直言って、スイスやフィンランドの様な小さな先進国では、政策転換で直ぐにベーシックインカムを実現できるかもしれません。しかしながら、日本や米国の様に人口が多い大国では、現実的に社会保障政策を転換しベーシックインカムを実現するには、相当な時間的準備と努力が必要になります。

今回の希望の党(代表・小池百合子東京都知事)の衆院選の公約を見てみますと、国民に月額5万円程度のベーシックインカム給付を提唱しています。
多くの人は「月額5万円で何ができるか?」と思われるかもしれませんが、家族4人の家庭では月額20万円になりますし家族6人は30万円になる訳です。
そして、現時点で社会保障給付費(医療費を除く)を全てベーシックインカムに振り替えるとすると、国民の新たな負担増はなく1人の国民に月額5万円程度のベーシックインカム給付がすでに可能だということです。2015年度の社会保障給付費114兆8596億円のうち医療費37兆7109億円を除いた77兆1489億円を、2016年の人口(1億2675万人)で割ると年間60万8670円で月額5万722円になります。

また、NHKによりますと月額10万円のベーシックインカムを実現するには約100兆円の財源が必要とのことですが、半分を社会保障費で賄えるとすれば残りは各種控除の廃止と増税で賄うことになります。
いずれにしても、月額10万円のベーシックインカムで生活が安定する人もいれば、
高額の年金や手当を貰っている人や各種控除が多い人は手取り収入が減ることになり国民的な議論が必要です。一方でベーシックインカムには大きなメリットもあります。


ベーシックインカムのメリット

 

メリットの1つ目はベーシックインカムで一定の所得を無条件で保障することにより、
すべての国民が最低限以上の生活を送れるようになり究極の貧困対策と考えることができます。そして、生活保護と違いベーシックインカムを貰いながら更なる収入を目指す人は、働くこともできますので新たな労働意欲に繋がり易いと言えます。

メリットの2つ目はベーシックインカムは世帯ではなく個人を単位として給付されますから、子供を増やすことは世帯単位での所得増加につながるため少子化対策にもなります。メリットの3つ目はベーシックインカムの導入で社会保障制度が簡素化されますから、膨大な役所の窓口の人員やシステム費用などの行政コストの削減につながります。
一説によりますと現在の公務員の半分は自分たちの権益を守るための仕事をしていると言われます。したがって、ベーシックインカムの導入で公務員数を半分に削減できるかもしれません。

また、現在の複雑な社会保障制度は専門家しか理解できない様な仕組みになっていますが、シンプルなベーシックインカム導入で役人のし意的な判断や、交渉や制度の利用の得手・不得手などによる弊害を避けることができます。
さらに、上記のメリットにより消費が増え景気回復につながることもベーシックインカムのメリットと考えられ、それらにより余暇の充実も期待できるのです。
ただ、上記の様にベーシックインカムに多くのメリットが期待できる反面、使い方を誤ると障害者など弱者を切り捨てる「自己責任社会」を再強化しかねない懸念も残ります。したがって、別建てでそれらの弱者対策を構築しなければなりません。


米国ではベーシックインカムの議論が進んでいる

 

今年に入り米国ではベーシックインカムの議論が進んできました。
特に、シリコンバレーの著名人が続々とベーシックインカム支持を表明し始めており、
テスラCEOのイーロン・マスク氏やFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏などがベーシックインカム支持を表明しています。彼らにとってはテクノロジーの進化で人々が仕事を失ってもベーシックインカムがあれば生活に困らない訳で、テクノロジーの進化とベーシックインカムは相互補完関係にあると言えます。

また、ヒラリー・クリントン氏が大統領選を振り返った著書「What Happened」を出版した後、ニュースサイトVoxに対して大統領選挙に向けて自分なりにベーシックインカムを検討していたと述べました。その際、住民に年1000ドルを支給するアラスカ永久基金(Permanent Fund Dividend)を参考にしたということで、アラスカ永久基金は同州の財政を支える鉱物資源が枯渇した際に備えて設立された制度で、石油から得た収益の一部が住民に給付されておりベーシックインカムと類似点があります。

また、カリフォルニア州ストックトン市は、アメリカで初めて市レベルでのユニバーサル・ベーシックインカムの実験を行う予定です。ストックトンの市長マイケル・タブス氏は市を長年にわたって悩ませてきた貧困問題の打開策として、ベーシックインカムに期待を寄せています。
ストックトン市は2018年8月までに市民31万5000人のうちの一部(人数は非公表)を対象に、ベーシックインカムの実験として月500ドルもしくは年間6000ドルを無条件で支給する実験を最長で3年間継続する予定です。この様に米国のベーシックインカムに対する考え方は、一歩も二歩も先を行っています。


ベーシックインカムで自己破産者は減るのか?

 

ここまで述べてきた様にベーシックインカムには、これまでの制度には無い大きなメリットがあることは確かです。特に、最近の先進国経済は市場経済や資本主義経済の限界とも言える症状に悩まされています。
例えば、持つ者と持たざる者の格差の拡大、
富裕層や大企業への富の集中、
好景気なのに消費が伸びない、
好景気なのに金利が上昇しないなどです。
そのしわ寄せが弱者である母子家庭や若者や高齢者に及んでいます。

また、特に、日本では社会保障制度のシステムが複雑すぎて一般の国民が理解できない制度になり、一部の専門家や役所の担当者しか解らないシステムが出来上がっています。その結果、制度を維持するためのシステムとコストが増大し肥大化している訳です。その意味では1つの考え方としてベーシックインカムという考え方もアリだと思います。
ベーシックインカムは国民の最低限度の生活を保障するため国民一人一人に現金を給付するという政策構想で、国民一人一人に同額の現金を一生、給付することができます。
つまり、ベーシックインカムは非常にシンプルかつ平等で解り易い制度で所得制限などの受給要件がないため、誰もがベーシックインカムを理解しベーシックインカムで生活設計を立てることが可能です。また、働きたい人は働けば働くほど所得が増えるというメリットもあります。

現在の我が国の福祉政策や社会保障政策は一定の成果を上げていることは間違いありませんが、何しろ1億2千万人以上を対象にした大掛かりな制度です。
したがって、制度になじまない人や制度のセイフティーネットから洩れる人も少なくありません。特に、福祉などでサポートすべき弱い立場の人達が、恩恵を受けていないケースも多く見受けられます。
その意味でベーシックインカムは非常にシンプルかつ平等な制度で、声の大きい人も何も言わない人も平等に何もしなくとも同じ金額が支給されます。
つまり、現在、公務員などの様に税金で食べている人や、天下り官僚などの様に税金その物を食い物にしている人達に流れているお金が、ベーシックインカムではあまねく全ての人に行き渡ることが期待できます。その結果、マクロ的に考えるとベーシックインカムが普及すれば自己破産者が減るという構図も考えられるのです。


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