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ゼロ金利時代なのに銀行カードローン金利はどうして下がらないのか?

素朴な疑問として誰もが感じているのは、ゼロ金利時代なのに銀行カードローン金利はどうして下がらないのかということです。長引くゼロ金利時代の中で預金金利は実質ゼロ近くまで下がり、住宅ローン金利も史上最も低い金利が適用されています。    一方でカードローン金利は最も利用者が多い50万円~100万円の適用金利は、年率で15%前後と高止まりしており昔と大きく変わりません。ことさら銀行カードローンは金利を引き下げていると強調しますが、その恩恵を受けるのは審査のポイントが高い一部の利用者に過ぎません。そこで、ゼロ金利時代なのに銀行カードローン金利が下がらないカラクリを探ります。


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そもそも、金利はどの様に決められるのか?

 

銀行カードローン金利を考える前に、そもそも、金利はどの様に決められているのかを理解する必要があります。まず、1年未満の短期金利普通預金や1年未満の定期預金の金利の基準にされていますが、これは銀行同士でお金が足りない場合に無担保で貸し借りをするコール市場金利で決められます。
つまり、資金需要により基本的な金利は決まっていますがこの市場の金利をコントロールしているのが日本銀行で、景気が悪いと日銀が金利を下げ景気が良くなると金利を上げる様に調整しています。

また、1年以上の長期金利は市場で売買されている10年物国債金利がベースです。
国債は銀行や証券会社などで発行時に購入できますが、満期までの間に債券市場で売買が行われ価格は日々変動しています。この国債の価格は国内の景気の動向や株価・海外の景気の動向などが加味されて変化します。
つまり、基本的に短期金利長期金利も市場の資金需要がベースになっていますが、
それらをコントロールしているのが日銀なのです。
例えば、住宅ローン金利の変動金利型や短期固定金利型は短期金利と連動しており、
長期固定金利型のローンや完全固定型のローンは長期金利と連動しています。
ちなみに、現在の長期金利である10年国債利回りは0.068%(10/24現在)です。


カードローン金利の決め方

 

もともと、銀行が各種ローンの適用金利を決める時に参考にしているのは、上記の短期金利長期金利に加えて貸出期間の長短・担保の有無・資金の使途などです。
特に、各種ローンの適用金利を決める時に重要なのは担保の有無です。
例えば、定期預金を担保にしたローンは銀行にとり殆どノーリスクのローンと言えますが、土地など価格が変動する担保は日々の評価額により担保価値が変動します。
したがって、担保の中身でローンの適用金利が異なります。

一方で、無担保の銀行カードローンやフリーローン・教育ローンなどは適用金利が高くなる訳です。つまり、担保が必要なものより不要なもの、使途が限定されているものより自由なもの、期間が短いものより長いものの方が適用金利は高くなる傾向があります。また、資金需要により金利が上下することになり、借りたい人が多ければ適用金利が上がります。
その意味でカードローンは無担保・資金使途の制限なし・期間も自由に選べることから、銀行の各種ローンの中でも最も高い適用金利が設定されるのが当たり前になっています。特に、銀行は高いカードローン金利の根拠として、高い延滞率や貸し倒れリスクを上げています。


なかなか公表されない内外の延滞率や貸し倒れ率の実態

 

それでは、銀行カードローンに於いて、実際の延滞率や貸し倒れ率はどのくらいなのでしょうか?最初にお断りしなければなりませんが、各銀行は実際の延滞率や貸し倒れ率を一切、公表していません。公表しないどころか、むしろ、ブラックボックス化しています。つまり、それらは経営上の最優先マル秘事項として扱われています。
なぜなら、それらを明らかにするとカードローン事業で銀行が大儲けしていることがバレるからに他ならず、決して明らかにすることはありません。

また、銀行の立場から言えることは、延滞率や貸し倒れ率を下げることは経営上の至上命題でもあります。企業向け貸出や事業ローンのような低金利の貸出では貸し倒れ率が小さく、日本のカードローンやアメリカのサブプライムローンなど高金利なローンほど返済が破綻する確率が高くなります。したがって、カードローンの設定金利と延滞率や貸し倒れ率は、銀行の収益に直結する重要事項なのです。

そこで、様々な情報からカードローンの延滞率や貸し倒れ率の一端を探ることにします。まず、1つの参考情報として個人の与信情報データベースを持つ「全国信用情報センター連合会」の発表によりますと、2006年段階で消費者金融の利用者は延べ1585万人でうち延滞者は267万人・延滞率は19.1%にのぼるということです。
また、信用情報機関のシー・アイ・シー(CIC)の調査によりますと、2010年12月の時点で3ヵ月以上返済が遅れている人は実に29.1%に達しているとのことです。
上記の数字は2008年のリーマンショック前後の数字ですから、現在はもっと落ち着いた数字になっているかもしれません。また、数日間、返済が遅れると延滞者に分類されてしまいますので、この延滞率19.1%という数字が全て貸し倒れになる訳ではありません。

またアメリカの抵当銀行協会の調査では2009年3月時点での住宅ローン延滞率は7.9%で、中でも金利の高いサブプライムローン低所得者などハイリスクな人)の延滞率は21.9%にもなるとのことです。
同時期にクレジットカード大手アメリカンエキスプレスが発表したクレジットカードの延滞率は5.3%で、利用者の所得層により延滞率は大きく異なることが解ります。


結局カードローンは延滞率が高いから金利が高くなるという論理

 

また、もう1つの参考資料として2016年の自己破産者数は7.1万人です。
一方で2012年度の金融機関から個人信用情報機関への個人情報の照会件数は946万件とのことです。したがって、自己破産は完全な貸し倒れですから、年度は異なりますが貸倒率は0.75%となります。
しかも、実際の貸倒率は自己破産に加えて任意整理や個人再生の一部も含まれますので、貸倒率は少なくとも2%~3%に達する筈です。
上記の消費者金融や住宅ローンの延滞者の何パーセントが貸し倒れになるかは定かではありませんが、アメリカンエキスプレスのクレジットカード延滞率が5.3%になっていることから推測すると、銀行カードローンの貸し倒れ率は3%~5%で消費者金融会社の貸倒率は5%~7%と推測されます。ただ、銀行カードローンの保証会社は殆どが消費者金融会社の系列会社ですから、貸し倒れの損害の大部分は銀行が被ることはありません。


それでも銀行カードローン金利は高過ぎる

 

一方、銀行の資金調達レートはメガバンクは限りなくゼロ%に近く、一般の銀行でも資金調達レートは0.1%前後と考えられ資金調達コストは限りなくゼロに近いと言えます。銀行カードローンはそれを14%前後という高金利で貸し出している訳ですから、
販管費などのコストや上記の3%~5%の貸し倒れを差し引いても相当な利益が残ると考えられます。

したがって、銀行カードローン金利も他の金融商品と同様に引き下げられるべきですが、14%前後という高金利でも借りる人がいることが一方の問題とも言えます。
しかしながら、銀行は銀行法で利用者の利益を優先して考えることが義務付けられていますので、需給要因で適用金利を一方的に決めるのは銀行法の精神に反するとも言えます。今回、メガバンクは銀行カードローンの融資上限額を年収の2分の1や3分の1を上限とすることを決めましたが、同時に銀行カードローンの実質的な適用金利を利用者の目に見える形で引き下げるべきです。
それができなければ、いずれ銀行カードローンに取って変わる低金利の画期的なローンが登場するでしょう。


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