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債務整理の弁護士解任で既に支払った費用はどうなる?

東京弁護士会が「アディーレ法律事務所」を2か月間の業務停止処分にしたことを受けて、にわかに弁護士の解任手続についての検索が増えています。
「アディーレ法律事務所」問題で東京弁護士会が顧客のための相談窓口を設けたところ数日で3,000件を超える相談が寄せられましたが、その大半は弁護士変更手続と費用に関する相談でした。そこで、弁護士変更手続の手順と支払った費用についてまとめました。


「アディーレ」業務停止処分 弁護士会に3000件超の相談
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171018/k10011182071000.html


弁護士解任と辞任の違い

 

一般的に弁護士の解任と辞任と言われると何となく想像がつく気もしますが、違いを明確に説明することは意外に難しいものです。まず、弁護士が辞任するケースとしては健康状態や業務停止などの懲戒処分により業務を遂行出来ない場合など、弁護士の都合で委任契約を解約する場合を意味します。
今回の「アディーレ法律事務所」問題は一旦、弁護士が辞任することになる筈で、現在、3.5万人~5万人とも言われる依頼者にその旨が書かれた文書が発送されている筈です。したがって、弁護士(弁護士事務所)の都合で委任契約を解約する訳ですから、
弁護士事務所や弁護士会が後任の弁護士を選任する可能性が多いと言えます。
また、辞任のもう1つのケースは弁護士が事件の正式受任後の相当期間経過後に、
依頼者による虚偽の説明や証拠書類などのねつ造が判明した場合などが考えられます。

一方、依頼人と弁護士の委任契約は法律上いつでも解約することは可能です。
ただ、依頼人が解約をすること自体は自由ですがやむを得ない理由に基づくものでない限り、相手(弁護士・弁護士事務所)の損害を賠償すべきこととされています。
つまり、客観的に判断して弁護士に「弁護士の品位を失うべき非行」などの特段の問題がない場合、委任契約の解約は相手の不利な時期に行う場合にはそれによる損害を賠償すべきであると考えられています。
例えば、「勝訴したら勝訴額に応じて成功報酬を与える」というような裁判に於いて、
突然、勝訴間近に弁護士との委任関係を一方的に解消した場合は、見込み成功報酬額や実費を請求されることが多いと言えます。
ただ、今回の「アディーレ法律事務所」問題の場合は先方弁護士の辞任を待たずに解任しても、弁護士・弁護士事務所の損害を賠償する必要は無いと考えられます。
「アディーレ法律事務所」或は代表弁護士に「弁護士の品位を失うべき非行」などが認められ、「アディーレ法律事務所」と代表弁護士に業務停止処分が課せられているからです。

一般的なケースとしては依頼人と弁護士の意志の疎通不足やコミュニケーション不足が原因で、依頼人が解任に踏み切る場合が多い様です。
依頼人から見ると長期間、弁護士が何もしないで手続を放置したとか、メールをしても電話を掛けても事務員ばかりで弁護士が対応しないなどのケースです。
その様な依頼人と弁護士の相性の悪さで依頼人が解任に踏み切る場合は、その後の依頼人と弁護士の話し合いで弁護士の辞任とする場合も多い様です。弁護士にとっては解任よりも辞任の方が体裁が良い訳で、費用の面を含めてお互いに妥協するケースと言えます。


弁護士に支払い済みの着手金はどうなるのか?

 

弁護士を解任した場合に最も気になるのが着手金です。
もともと、弁護士の着手金について法律上の明確な定めは無いため、着手金の扱いで依頼者と弁護士の意見が対立する場合が多いからです。したがって、弁護士を解任した場合の着手金の取り扱いについては、弁護士と話し合うしかありません。

ただ、着手金についての一般的な考え方は以下の通りです。
まず、客観的に判断して弁護士に「弁護士の品位を失うべき非行」などの特段の問題がない場合の解任については、着手金は依頼者に返還されるケースは稀です。
一方で、今回の「アディーレ法律事務所」問題の様な業務停止などの懲戒処分により辞任・解任する場合は、着手金は返還されるべきだと考えられます。
ただし、「アディーレ法律事務所」が、その様に考えるかどうかは解りません。
加えて、今回の「アディーレ法律事務所」問題で依頼者が受けた精神的な負担や、契約不履行(債務不履行)を理由に損害賠償を求めるケースが出ることも考えられます。


弁護士に支払い済みの着手金以外の費用はどうなるのか?

 

着手金以外に支払った報酬金などの費用については、債務整理手続がどの程度まで進んでいたのかにもよりますが基本的な考え方は上記と同様です。したがって、今回の「アディーレ法律事務所」問題の場合は返還されるのが一般的な考え方と言えます。
いずれにしても、弁護士解任で費用の返還などで先方と意見が食い違った場合は、話し合いにより返還方法などを決めるしかありません。

ただし、債務整理手続の場合に費用を分割払いする依頼者は、費用を手続に先行して支払っている場合が多くなっています。特に、任意整理の費用を分割する場合は、和解交渉を始める前に費用を分割で支払う例が多いと言えます。
つまり、和解交渉を始める前の段階ですから、これらの費用は依頼者に返還されるべきものと考えられます。


弁護士との話し合いがもめた場合は

 

弁護士の解任や費用の返還でもめた場合は、弁護士会の中にそのような苦情を受け付ける相談窓口(紛議調停)が開設されていますので相談するとよいでしょう。
もともと、弁護士と委任契約を結ぶ前に、ネットで依頼した弁護士に懲戒処分の過去があるか否かを確認することも大事です。中には過去に何度も懲戒処分を受けたことがある弁護士もいますので。
その様な懲戒処分のリピーター弁護士は、弁護士事務所名を変えて場所を変えて弁護士業務を継続しています。


アディーレ業務停止、広がる混乱 弁護士に会えず途方に
http://www.asahi.com/articles/ASKBK5JQ6KBKUTIL037.html