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年金はどうなる?意外に知らない自己破産ペナルティーの全て

減り続けていた個人の自己破産申請件数が昨年から増加に転じています。また、2014年の自己破産者に占める70歳以上の割合は全体の8.63%を占めており、高齢者の自己破産申請も増えています。
しかしながら、自己破産で借金をチャラにしようと考える人が増える半面で、自己破産のペナルティーを正確に知っている人が少ないのも事実です。例えば、「高齢者の自己破産で年金はどうなるのか?」「自己破産で会社をクビになる?」などです。また、あふれるネット情報も自己破産のペナルティーを正確に伝えていません。そこで、本項では自己破産のペナルティーの全てを解り易く説明します。


55歳「元週刊誌記者」が貧困から脱せない事情
フリーで食えず自己破産・生活保護受給者に
http://toyokeizai.net/articles/-/191533


自己破産すれば起こる当たり前のペナルティー

 

自己破産のペナルティーの中で、自己破産すれば起こる当たり前のペナルティーがあります。まず、この当たり前のペナルティーについて記します。
そもそも、自己破産とは借金をチャラにして貰う法的な手続ですから、借金をチャラにして貰うかたわらで財産を残せる筈はありません。現実問題として自己破産を考える人に財産が残っているケースは稀ですが、中には本人も気が付かない財産が残っている場合があります。もともと、自己破産を申請すると弁護士が財産の確認を行ないます。
そして、仮に財産が残っている場合は借金から財産を差し引いた残りについて自己破産することになります。例えば、中古のマイカーが残っていた場合は、売却して債権者に平等に返済することになります。不動産・動産に関わらず同様の手続がなされます。
一応、処分される財産の目安は時価20万円以上の物となっています。
したがって、時価数万円のテレビや数千円のDVDなどが処分されることはありませんし生活必需品も同様です。また、3ヵ月分の生活費と見なされる99万円以下の現金も債務の返済に充当する必要はありません。

2つ目は自己破産を正式に申請することで、既存のカードローンやクレジットカードが使えませんし新規でカードを申し込むこともできません。
自己破産は借金の返済を放棄する訳ですから、これらは当たり前のことです。

3つ目は本人の借金に関して連帯保証人がいる場合は、連帯保証人が本人に代わり借金を返済しなければならなくなります。しかしながら、多くの場合、カードローンやクレジットカードは連帯保証人は不要となっています。
一方で、連帯保証人以外の配偶者や家族に請求が行くことはありません。未だに自己破産をすると配偶者や家族に請求が行くと誤解している人がいますが、無知と誤解から来ている全くのデマです。
ただし、上記で指摘しました様に家族などが連帯保証人になっている場合と、相続した場合はこの限りではありません。特に、遺産を相続した場合に遺産よりも借金の方が多かったということもありますから、遺産相続の場合は弁護士などの専門家に相談した方が無難です。


自己破産申請手続中のペナルティー

 

次に自己破産申請後のペナルティーを、自己破産申請手続中のペナルティーと自己破産後のペナルティーに分けて見ていきます。
最初は自己破産開始決定から免責決定までの期間限定のペナルティーで、ケースバイケースですが約半年程度の期間限定のペナルティーと言えます。まず、裁判所から自己破産が宣告されますと官報にその旨が掲載されます。これが自己破産が公表される唯一の手段で、戸籍に載ることも無ければそれ以外で公表されることはありません。
毎日官報を購読しているのは極極一部の業界の人だけですから、一般の人の目に触れることは全く有り得ません。官報はネットでも見ることができますが見ただけで嫌になる様な活字の山で法律用語に溢れており、自己破産宣告の公告は小さな記事で探すだけでも大変です。

2つ目は職業の制限です。
国家試験に合格してなる弁護士や税理士・行政書士などの士業には、自己破産開始決定から免責決定までの期間限定で就くことはできません。したがって、現実的にはこれらの人が自己破産開始決定を受けると休業する必要が出てきます。また、同様に会社の取締役に就くこともできませんから、一時的にせよ退任しなければならなくなります。

3つ目は住所や居所を裁判所に届けることです。
上記と同様に自己破産開始決定から免責決定までの期間限定ですが、転居や長期の旅行に出る場合には裁判所に届ける必要が出てきます。現実的に自己破産開始決定後に旅行に出る人は余りいないと思われますが、家賃の安い家に転居する人は多くので、その場合は裁判所に届ける必要が出てきます。これらの自己破産開始決定から免責決定までの期間限定のペナルティーは、見方を変えれば官によるペナルティーと見ることができます。


自己破産後のペナルティー

 

一方で、自己破産後のペナルティーは民間によるペナルティーと言えます。
ここで言う自己破産後とは免責決定により自己破産手続が全て終了したことを意味しますが、自己破産後の民間によるペナルティーは官によるペナルティーが実質6ヶ月程度の期間限定のペナルティーであるのに対して、民間によるペナルティーは少なくとも5年間から10年間に及ぶ長いペナルティーとなります。
1つ目は自己破産に関する信用情報は取り扱う信用情報機関によって期間が異なりますが、おおむね5年~10年間は自己破産に関する信用情報が抹消されることは無いということです。したがって、この自己破産に関する信用情報により様々な制限が加えられることになります。

その結果、まず、新規でカードローンを作れなくなります。同様にクレジットカードも作れません。これらのペナルティーは民間会社の判断ですから一概に言えませんが、
最も審査のハードルが低いスーパー系のクレジットカードの場合でも、自己破産から5年以内に作った例は聞いたことがありません。また、銀行のカードローンはクレジットカードよりもハードルが高く10年程度は無理と考えられます。
さらに、本人が自己破産した金融業者は永久に審査をパスできないと考えた方が良いでしょう。例えば、三井住友銀行のカードローンを自己破産した人は、永久に三井住友銀行のカードローン審査をパスできないと考えた方が良いでしょう。将来的に銀行や消費者金融会社が合併した場合でも個人信用情報が残ると考えられます。
したがって、自己破産した人は永久にカードは持たない程度の気概が必要ですが、もし、作るとしても5年~10年は待つことが必要です。

3つ目は住宅ローンが組めないことです。
自己破産から10年が経過し貯金ができたので、中古マンションを購入しようと考える場合も出てきます。しかしながら、銀行によっては過去の自己破産が原因で住宅ローンの審査をパスできない場合が考えられます。民間に於いては利用者が業者を選ぶのと同様に、業者も利用者を選ぶことができるのは当たり前のことです。したがって、以前と全く違う銀行系列や外資系の銀行などでトライする手も考えられます。


よく聞く自己破産の誤解とデマ

 

上記が自己破産のペナルティーですが、
昔から一方で自己破産のペナルティーに対する多くの誤解とデマがまかり通っています。ここでよく聞く自己破産の誤解とデマを網羅しておきます。
自己破産の誤解とデマの1つ目は自己破産すると公民権が停止されるということです。
つまり、自己破産により選挙権や被選挙権が制限されるというものですが、自己破産と選挙権・被選挙権とは全く無関係の問題で制限されることはありません。これは以前は制限されていたことによる誤解です。

2つ目は戸籍に自己破産の事実が記載され一生、残るというデマです。
これも全くのデマで戸籍に自己破産の事実が記載されることは無く、戸籍にキズが付くことも全く有り得ません。ただし、市町村が管理する破産者名簿というものがあり、これには氏名が記載されることになります。この破産者名簿については第三者が閲覧することは不可能ですので、会社や家族などの周囲に自己破産がバレる心配は少ないでしょう。一方で、戸籍にキズは付きませんが、目には見えない本人の信用にはキズが付くことになりますが。

3つ目は自己破産すると会社をクビになるということですが、これも全くのデマです。
そもそも、自己破産したことを会社に報告する義務はありません。
また、会社が社員の自己破産の事実を確認するには手間暇が掛かり、普通の会社では事実を確認することはありません。仮に会社が事実を確認するには個人信用情報機関に調査を依頼することになりますが、もちろん、有料の調査ですから殆どやっていないのが実際のところです。まれに、転職の際に部長や取締役などの上級幹部に登用する際に有料の調査を行なう場合がありますが。
したがって、自己破産しても会社を辞める必要は全くありませんし、本人が言わない限り自己破産が会社にバレることも無いのです。

4つ目のデマは高齢者の自己破産の場合、年金が差し押さえられるということですが、
もともと、自己破産に限らず年金を借金の差し押さえの対象にすることはできません。
逆に言えば借金を踏み倒している場合でも債権者は債務者の年金資産に手を付けることはできません。
ただ、現実的には年金が入ると返済に回してしまうのが人情ですが、法律的には借金の返済に年金資産を充当する必要はありません。上記で99万円以下の現金が返済の対象にならないのと同じ考え方で、年金は憲法で保障された最低限度の生活を営む資金と考えられているからです。

逆に「蛇の道は蛇で」上記の官報に掲載された自己破産者の公告から、闇金などの悪徳業者がリストを作り闇金の勧誘をして来ることがあります。「直ぐに融資します」などという勧誘ですが、この様な誘惑に負けては元も子もないことは言うまでもありません。


任意整理から自己破産に切り替えることは可能か?切り替えたら不利益はあるのでしょうか……?
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