借金を考察するブログ

「債務整理の森」の執筆担当が借金ニュースについて考察するブログ

高齢者の自己破産が増えている現実

減り続けていた個人の自己破産申請件数が昨年から増加に転じていますが、増加のトレンドは今年も変わらず昨年よりも個人の自己破産申請件数は増加している模様です。
その様な中で、70歳以上の困窮ぶりが深まっていることを如実に示すデータがあります。2014年の日弁連の調査によりますと自己破産者に占める70歳以上の割合は2005年の3.05%から急増し、2014年は全体の8.63%を占めているとのデータが示されています。恐らく、この傾向は2015年以降も続いている筈ですから、高齢者の自己破産が増えている現実について考えてみます。


70歳以上の自己破産が急増 2005年は3.05%で2014年は8.63%
https://www.moneypost.jp/202180


日本の高齢者はお金持ちというイメージが定着

 

もともと、日本の高齢者はお金持ちというイメージは世界的に定着しています。
個人金融資産に占める60歳以上の人口が多いということや、家族の中でも一番お金を持っているのはお爺さんやお婆さんです。また、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査・2016年」より貯蓄関連のデータを見てみますと、全金融資産保有世帯で2人以上世帯の金融資産平均値は1,615万円で中央値は950万円です。
また、同シングル世帯では平均値は1,590万円で中央値600万円となっています。
さらに、60歳以上の2人世帯の平均値は2,202万円で中央値1,500万円、70歳以上の2人世帯の平均値は2,325万円で中央値1,300万円となっています。
つまり、60歳以上の2人世帯は平均で2,000万円以上の金融資産を持っていることを示しています。


高齢者の格差は平均よりも激しい

 

しかしながら、この様なビッグデータは中身をしっかり把握しないと数字が一人歩きしてしまいます。例えば、全金融資産保有世帯の平均値は1,615万円で中央値は950万円ですから平均値と中央値の格差は665万円ですが、60歳の平均値と中央値の格差は702万円・70歳の平均値と中央値の格差は1,025万円と格差が拡大しています。
これは何を意味するのでしょうか?
例えば、金融資産1億円と2,000万円と100万円を持つ3人の金融資産を見た場合、3人の平均値は4,033万円で中央値は2,000万円となります。
したがって、データの傾向として言えるのは平均値は大きく上振れる傾向が強まっているということと、平均値と中央値の差が広がっているということです。
つまり、何千億円や何百億円を持っている一部の富裕層により、平均値が相当かさ上げされているという現実があります。したがって、ますます、格差が大きくなる傾向が強っていますが、特に、60歳以上・70歳以上と高齢になるほど格差が拡大していると言えます。


高齢者の格差は解消できない

 

今の日本で高齢になるほど格差が拡大していることは間違いありませんが、高齢になるほど格差が拡大する要因の1つは労働による収入が増えないことにあります。
2014年に出版されると瞬く間にベストセラーになったフランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』によりますと、長期的にみると資本収益率は経済成長率よりも大きくなるということです。つまり、賃金よりも預金や株や土地からの収入の方が増加するテンポが早いことを意味します。

特に、高齢者の労働による収入が大きく増えないことは明らかです。60歳の運転手の給料が30万円で同70歳の給料が上がることは有り得ません。
一方で、株の値上がり益や配当・土地の賃貸収入や値上がり益などの資本収益は、長期的に見ると増加の一途で短期的に見ても下がることは稀です。その結果、高齢者間の格差は開くばかりで解消することはできないのです。30歳代の格差が20年後に解消されることはあっても、60歳の格差を80歳で解消されることはできないのです。


高齢者の自己破産が増えるのは誰のせいか?

 

上記の通り我が国に於いても格差が拡大していることは間違いありませんが、特に、高齢者の格差がますます拡大し持たざる高齢者の生活困窮が社会問題化している現実があります。その背景には予想されたこととは言え高齢者の人口が増えていることで、社会保障高齢者人口に追い付いていないことが見えてきます。また、核家族化が進み高齢者の単身や二人世帯が増加しています。
これまでは大家族の中で高齢者の貧困問題が吸収されてきましたが、高齢者の単身や二人世帯の増加で高齢者の貧困問題が、即、自己破産につながる現実があります。

高齢者の自己破産が増える背景には上記の様な時代的な背景に加えて、個々の自己責任があることは言うまでもありません。退職後も現役時代の生活水準が忘れられず、
結局、カードローンなどの借金が膨らみ自己破産に至る例も少なくありません。
しかしながら、人生の最後に自己破産をしなければならない人が多いという現実は、
先進国家としては恥ずかしいことです。官僚OBが独立行政法人などの天下りを繰り返し何度も高額の退職金を受け取るのを見ると、税金の使い道も考え直す必要があります。今後も不動産バブルの崩壊で住宅ローン破産が増えると見られ、国として何らかの対策が必要と考えられます。


自己破産後から始める投資生活
http://www.winner-of-life.com/entry/2017/09/23/232347