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今回の金融庁銀行カードローン立ち入り検査は単なる選挙対策なのか?

列島は一気に衆議院解散総選挙モードですが、そうなって見ると、
金融庁の銀行カードローン立ち入り検査は単なる選挙対策なのか?」という疑念が沸々と湧いてきます。今回の衆議院解散総選挙は安倍首相が都合の悪い全てのことをリセットするには好都合かもしれませんが、個々の政策に期待していた国民にとっては首相のわがままにしか映りません。そこで、金融庁の銀行カードローン立ち入り検査が単なる選挙対策なのか否かを探ります。


古賀茂明「銀行を特別扱いする安倍政権への対抗策とは?」
https://dot.asahi.com/dot/2017091000006.html?page=3


列島は一気に衆議院解散総選挙モード

 

9月18日からの週に入り一気に衆議院解散総選挙モードに入ってきました。安倍首相は25日に記者会見し28日の臨時国会で冒頭解散を断行し、来月10日公示22日投開票で最終調整しているということです。今の所、今回の解散総選挙に対して批判的な意見は多く聞きますが、歓迎する意見は余り聞きません。
批判的な意見の代表格は「森友・加計疑惑隠し」「8月3日の第3次安倍内閣発足後3回目の内閣改造は何だったのか」「国会審議からの敵前逃亡」などです。
また、「北朝鮮情勢」やにわかに出て来た「年金支給漏れ問題」などが悪化する前に選挙を済ませてしまうという魂胆で、これらを封じるための解散総選挙という論調が目立ちます。

加えて、銀行カードローンに対する批判は高まるばかりで、何もしない監督官庁である金融庁に対する批判も少なくありません。特に、銀行業界の貸し出し攻勢の結果、
2016年3月末時点の銀行によるカードローンを含む消費者向け貸出金残高は5兆1227億円と貸金業者の5兆1150億円を上回りました。
貸金業者の貸出金残高が減少する中で銀行カードローン融資残高は6年間で1.75倍に増加した計算です。しかも、金融庁の調査(2016年11~12月)では直近3年間でノンバンクで希望通り借りられなかった人の1割弱が、その後、銀行カードローンで借金をしているということです。また、貸金業者や銀行から借り入れをした人のうち、借入残高が年収の3分の1を超えている人は全体の2割以上もいるというのです。
つまり、ノンバンクなどの貸金業者よりも銀行の審査のハードルが低く、銀行カードローンはノンバンクなどの貸金業者に対する総量規制を骨抜きにしているという構図です。その結果、個人の自己破産の申請件数は2016年に13年ぶりに増加に転じ6万4637件となり、この傾向は今年も続き今年1~6月(上半期)は前年同期比5%増の3万3千件と2年連続で自己破産の申請件数が増えている現状です。


総選挙で野党から銀行カードローン批判が出ることが予想された

 

最近、わがままな国会対応や発言が目立つ安倍首相ですが、突然、衆議院解散総選挙を一人で決められる筈はありません。長い首相経験を積んだ安倍首相は綿密な調査や準備をして今回の衆議院解散総選挙に臨んだ筈です。
自民党による全国の情勢調査では野党の選挙準備が整わない10月であれば、自公の議席は微減で済むという調査結果もあった様です。また、事前に打てる対策は打って衆議院解散総選挙に臨む腹積もりだった筈です。

例えば、20日の国連総会でのトランプ大統領の拉致問題への言及と、同じく安倍首相の言及は国民の琴線に触れる発言ということで周到な準備が見られました。
従って、9月1日に麻生太郎金融相が表明した金融庁の銀行カードローン立ち入り検査も、周到な選挙準備の一環に見えても不思議はありません。
金融相は記者会見で「銀行カードローンの適正化を推進したい。業務運営の実態を把握したい」と述べ、検査結果で適切な審査や返済能力に応じた融資設定などに構造的な問題が認められない場合、金融庁は情勢を見守る可能性もかなり残されています。
つまり、選挙が終われば知らん顔を決め込むいつものスタイルです。


自民党と銀行業界・金融庁と銀行業界の固い結びつき

 

他方、全国銀行の役職員数は約30万人に及び家族を含めると100万人規模の数となり、
総選挙に於いては一大勢力となります。
もともと、自民党と銀行業界の固い結びつきは有名で、自民党の選挙資金を大手銀行が融資する時代もありました。また、銀行界は公的資金の注入を受けて1998年から政治献金をやめていましたが、三菱東京UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループは、アベノミクスの失速やマイナス金利政策などで業績に向かい風が吹く中で2015年に18年ぶりに2,000万円づつの政治献金を再開しました。

また、金融庁と銀行業界は以下の様な天下りで固い結びつきが認められます。
読売新聞の調べによりますと、2009年3月~2016年7月の間に金融庁(付属機関の証券取引等監視委員会公認会計士・監査審査会を含む)や財務局を退職した管理職は約270人のうち、半数以上の145人は許認可や検査の対象となる銀行や証券会社・信用金庫・信用組合などの金融機関・監査法人に再就職したとのことです。
さらに、このうち9人は金融庁や財務局による検査やモニタリングが行われている時期に相手先の地銀や信金に再就職していたとのことです。
これらの事象は紛れもなく政・官・業の癒着を物語るもので、古くて新しい問題は何も改善されていません。
その様な観点で今回の金融庁銀行カードローン立ち入り検査を見る限り、立ち入り検査は選挙対策の一環として上げられたアドバルーンに過ぎず選挙後は何も変わらないのではないかと危惧します。これから始まるお決まりの総選挙という一大イベントに惑わされることなく、冷静に議員を選び選挙後は金融庁の銀行カードローン立ち入り検査の結果を見守りたいものです。
果たして、本当に金融庁が利用者保護を考えていたのか、或は単なる選挙対策だったのかが解る筈です。


群がる銀行、カードローンの甘い蜜
超低金利時代、数少ない収益源の一つに
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091400164/091400002/