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今回の銀行カードローン審査体制強化で一体、何が変わるのか

このところ批判の矢面に立たされている銀行カードローンですが、この程、やっと、銀行協会が重い腰を上げて来年1月から銀行カードローンの審査体制を強化することを発表しました。そこで、その審査体制強化のポイントを整理し、果たして現在の銀行カードローンの問題点を解決する対策となり得るのか以下で具体的に探っていきます。


銀行、個人向け即日融資停止へ カードローン縮小 
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDF14H07_U7A910C1MM8000/?dg=1


銀行カードローン融資残高は5年間で約7割増えている

 

銀行カードローンは消費者が無担保で使い道を限定せずに借りられる唯一の融資ですが、24時間ネットからでも申し込める利便性から利用が急増し、融資残高は今年の3月末時点で約5兆6千億円と5年間で約7割増えています。
近年の大企業内部留保が300兆円を超える金余りの時代に於いて、銀行の大企業向け融資は伸び悩む中でカードローンが5年間で約7割増も増えている訳です。
これは、他の収益が期待できない銀行が、総力を挙げてカードローン融資営業に注力した結果と言えます。その結果、いくつかの弊害も目立ち始めました。
減り続けていた個人の自己破産申請件数が昨年から増加に転じたこと、銀行カードローン利用者の中で多重債務者が増加していることなどです。つまり、銀行カードローン融資に於いて、利用者の返済能力を超えた貸し付けが広がっているとの批判が強まっています。


銀行カードローンの問題点

 

その様な中で銀行カードローンの問題点の1つ目は、申込者の年収の額に関係なく融資額を決めていることです。総量規制により年収の3分の1にカードローン融資額が制限されている消費者金融会社などの貸金業者に対して、銀行カードローンは総量規制の対象外ですから融資額に対する規制はありません。
その結果、年収を超えるカードローン融資を受けた人が返済不能に陥る例や、年金生活者に1年の年金額を超えるカードローン融資を行なった例などが出ています。いずれも、銀行カードローンの審査が適正に行われていないことを物語ります。

銀行カードローンの問題点の2つ目は、実質的なカードローンの審査を銀行自身が行なって来なかったことです。多くの大手銀行は系列の消費者金融会社系の保証会社をカードローンの保証会社に指定し、カードローン融資の実質的な審査を保証会社に丸投げしてきました。その結果、これまでの銀行カードローン融資では考えられない程、審査体制が大甘になっています。
最終的に利用者が返済不能に陥っても保証会社が返済を保証していますから、銀行に貸し倒れの被害は出ないことも審査が大甘になる要因です。

問題点の3つ目は、銀行カードローンの営業現場のモラルハザードです。営業現場のモラルハザードは様々な例が報告されていますが、一言で表現すると「申込者が将来、返済に窮することが解っていながら融資を行なっている」ということです。
例えば、「年収220万円の60代女性に500万円」融資した銀行や、「無収入だった50代男性に収入証明の提出を求めずに300万円」融資した銀行があることが報告されています。つまり、それだけ銀行上層部がカードローンの営業現場に数字的なプレッシャーを掛けていた訳です。どこの企業でも同じですが、営業現場がモラルハザードを起こす背景には、本部・上層部の数字的なプレッシャーが隠されています。
昨年来、これらの問題が表面化しメディア報道が増えていましたが銀行協会や金融庁の動きは緩慢でした。その様な中で、やっと、銀行カードローンの審査体制強化が打ち出されましたが、果たして中身に実効性があるのでしょうか?以下で具体的に見て行きます。

  

 

 銀行カードローン審査体制強化の内容
 
全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は、15日の会見で「健全な消費者金融市場の育成に向け取り組みを深める」と述べました。
そして、国内の銀行各行はカードローンなど新規の個人向け融資で審査を厳しくし、
来年1月から警察庁のデータベースへの照会で審査に時間をかけ即日の融資を停止すると発表しました。
各銀行は暴力団構成員など反社会的勢力との取引を断つ狙いもありカードローンなど新規の個人向け融資の審査方法を見直すもので、全国銀行協会預金保険機構を介して各行と警察庁を専用回線でつなぎ利用者に問題がないか調べるということです。
また、銀行自ら貸し付けを自粛する新たな対策を講じることを発表しました。
債務者やその家族の申告があれば銀行が融資を制限するというもので、2018年度の導入をめざし検討に入る予定です。
さらに、10月からは加盟行の融資残高を毎月公表するほか、消費生活相談員などのカウンセラーから返済方法などの助言を受けられる窓口も設ける予定です。

 

  
実質的な改正ポイントは3つ

 

 上記の通り今回の銀行カードローン審査体制強化のポイントは3つです。
1つ目は来年1月から警察庁のデータベースへの照会で審査に時間をかけ即日の融資を停止することです。現在は各銀行が持つ個人情報審査に加えて外部の個人信用情報機関に個人情報を照会していました。
今回、この手続に警察庁のデータベースへの照会を加えることになった訳ですが、
警察への照会には時間がかかり結果が判明するのは最短で翌営業日、場合によって1~2週間かかる場合もある様です。
したがって、銀行は審査結果の提示から融資契約までの速さを競いカードローンの即日融資を売りにしてきましたが、警察への照会を行なうことで事実上そうした営業は不可能になり営業戦略を抜本的に見直さざるを得ないということです。
また、2つ目は債務者やその家族から申告が有った場合、銀行が融資を制限するということで、これまでには全くなかった規制です。つまり、申込者の配偶者や家族らの申し出で貸し付けを自粛することになります。
3つ目は10月からは加盟行の融資残高を毎月公表することです。これらの銀行カードローン審査体制強化策で、果たして銀行の営業は転機を迎え融資残高の伸びが抑えられる可能性が出てきたのでしょうか?


今回の審査体制強化の利用者への実質的な影響

 

今回の銀行カードローンの審査体制強化により、実質的に利用者にはどの様な影響が出るのでしょうか?まず、考えられる影響の1つ目は銀行カードローンの即日融資は無くなることです。警察への照会が義務付けられると警察への照会には時間がかかりますから、審査結果が判明するのは最短で翌営業日、場合によって1~2週間後とのことです。
したがって、少なくとも銀行カードローンの即日融資は無理となり、翌日の融資実行も難しくなるかもしれません。
しかしながら、警察への照会により審査をパスできない人は限定的と考えられます。
なぜなら、警察庁のデータベースにブラックリストとして登録されている人は、過去の犯罪がらみで登録されている人が中心だからです。過去に振込み詐欺などの特殊詐欺に関わった人や窃盗・強盗などの犯罪者や被疑者などが中心だからです。
また、暴力団員や暴力団と関わりのある人も含まれる筈ですが、いずれにしても、一般の銀行カードローン申込者が、警察への照会により審査を落とされるケースは非常にレアケースと考えられます。

考えられる影響の2つ目は銀行カードローン融資残高の管理です。これまでは各行が銀行カードローン融資競争を繰り広げ、その結果、銀行カードローン融資残高は5年間で約7割も増加し、各方面からの批判の対象となっています。
今回、銀行協会は10月から加盟行の融資残高を毎月公表することにしましたので、融資残高の伸びが突出した銀行は非常に目立つ訳です。
したがって、各行は他行よりも伸び率を抑えるという行動に出る筈で、現場に於いては融資残高の伸びを抑えることにつながる筈です。具体的には顧客ごとに融資の上限額を引き下げることや、「おまとめローン」の審査が厳しくなることが考えられます。

これらの銀行カードローン審査体制強化により、即日でお金を借りたい人は消費者金融会社などのノンバンクに流れる可能性もありますし、右肩上がりで増え続けた銀行カードローンに歯止めがかかる公算が大きいと言えます。
しかしながら、この審査体制強化で銀行カードローン融資残高が減少に転じるかと言えば、そこまでの影響は考えられません。また、根本的な多重債務者対策には程遠いと言えます。とりあえず、銀行協会が規制強化の方向に舵を切ったというところです。


2018年1月から個人は銀行からお金が借りれない?即日融資停止の徹底解説と対策
http://card-life.jp/2018-01-sokujitu-7402