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銀行カードローンに続きゆうちょ銀もカードローンを始めようとしている

多重債務者の温床になりつつある銀行カードローンですが、今度はゆうちょ銀行もカードローンを始めようとしているのは驚きです。2015年に11月に上場を果たしたゆうちょ銀行は、それまでの政府系金融機関から利益重視の民間銀行の色彩を強めています。
ゆうちょ銀行のカードローン進出の背景を探りました。


ゆうちょ銀の無担保融資に「OK」 消えぬ「消費者ローンへの参入」批判
https://www.j-cast.com/2017/06/20301109.html?p=all


金融庁長官と総務大臣はゆうちょ銀行に「口座貸越による貸付業務」を認可した

 

6月19日に金融庁長官と総務大臣はゆうちょ銀行に「口座貸越による貸付業務」を認可しました。実はゆうちょ銀行は5年前の2012年に住宅ローンやカードローンなどの融資業務への参入を申請しましたが、審査体制の未整備を理由に金融庁が認めなかった経緯があります。したがって、ゆうちょ銀行にとっては「口座貸越による貸付業務」は、かねてからの懸案業務だったと言えます。

もともと、ゆうちょ銀行の前身である郵便局は集めた資金を財政投融資資金として「大蔵省資金運用部資金」に預託し、政府や特殊法人地方公共団体への融資・運用に使われていました。したがって、郵便局は余資を地方債や特殊銀行金融債などで運用していましたが、個人の融資に回す資金はなく住宅ローンや他のローン業務はありませんでした。

ただ、郵便局には貯金担保貸付けという制度があり、いざというときに貯金を解約しなくても担保定額貯金・担保定期貯金・各種財産形成定額貯金を担保に貸付けが利用できました。つまり、通常貯金の現在高を超える払戻しがあった時に、不足分を担保定額貯金・担保定期貯金・各種財産形成定額貯金から自動的に貸し付ける仕組みでした。
ただ、貸付額は元利金額の90%以内で一つの通帳につき最高300万円までと制限されていました。したがって、貸付と言えども預けてある貯金の90%以内の金額を引き出せる仕組みに過ぎませんでしたので、融資の審査体制や審査にともなう人員は不要だった訳です。

ところが、今回の「口座貸越による貸付業務」は無担保で通常貯金の残高が足りない場合でも自動的に融資することから、実質的には無担保カードローンと変わらないという指摘も出ています。したがって、審査のシステムと審査にともなう人員も必要となります。ゆうちょ銀行は通常貯金の口座を有する個人が対象なので「カードローンではない」という立場ですが、通常貯金の残高が1,000円でも最大50万円(契約1年目は原則30万円程度を想定)の貸付極度額を認めるとのことですから一般的にはカードローンと解釈されます。


ゆうちょ銀行の業績の見通しが厳しい現実

 

直近のゆうちょ銀行の業績を見ますと前2017年3月期の連結予想数字は減収減益に終わりましたが、今2018年3月期の連結予想数字は増収増益と盛り返しています。
ところが、来2019年3月期の連結予想数字は再び減収減益予想と、このところ出入りの激しい状態で中長期的な成長が見えません。

その背景には日銀のマイナス金利政策により国債運用収益が著しく低下していますので、運用の中心を外債運用に切り替えていますが追い付かない現実が見えてきます。
その穴埋めに政府がゆうちょ銀行のカードローン参入を認めたのかどうかは解りませんが、ゆうちょ銀行は新たな収益源を確保したことは確かなようです。
当面、ゆうちょ銀行はカードローンの新規契約件数を年間30万件・業務開始後の5年間で150万件・約880億円の残高を想定しているとのことです。


ゆうちょ銀行の「口座貸越による貸付業務」は高齢者を対象にしたカードローンなのか? 

 

この「口座貸越による貸付業務」について、ゆうちょ銀行はカードローンではないと言っていますが、ライバル金融機関は実質的なカードローンと警戒を強めています。
ゆうちょ銀行の最も身近なライバルと言える全国信用金庫協会は民間金融機関との「公正な競争条件」が確保されない状況が続いていること、また、ゆうちょ銀行の「口座貸越による貸付業務」は民間のカードローンとほぼ同等の機能を有しており、
実質的に消費者ローンへの参入であることを理由に反対を表明しています。

特に、懸念されるのは、ゆうちょ銀行に通常貯金の口座を有する個人に高齢者の比率が高いことです。以前の消費者金融会社のカードローンが社会問題化し「サラ金地獄」と言われた時代に於いては、消費者金融会社のカードローンは主にサラリーマンや自営業者に使われました。また、足元の銀行カードローンで多重債務に陥っているのは若いビジネスマンが目立っていますが、今回のゆうちょ銀行の「口座貸越による貸付業務」が高齢者の多重債務の温床にならないとも限りません。
そこで、今回の「口座貸越による貸付業務」がカードローンではないと言い張るのであれば、ゆうちょ銀行は適用金利でカードローンではないことを証明しなければなりません。今回の「口座貸越による貸付業務」がカードローンでないならば、適用金利は年率で5%以下のリーズナブルな金利が適用されるべきです。この金利であれば高齢者の多重債務を増やす心配はないと言えるのですが、果たしてゆうちょ銀行の対応が注目されます。
 

銀行カードローンの規制「適当でない」 全銀協の新会長
http://www.asahi.com/articles/ASK6H4DKFK6HULFA012.html