借金を考察するブログ

「債務整理の森」の執筆担当が借金ニュースについて考察するブログ

銀行カードローンは多重債務の入口

消費者金融の中では優等生と思われてきた銀行カードローンですが、これまでの常識を考え直さなければならない時期に来ています。これまでは銀行カードローンを借りられなかった人が消費者金融会社のカードローンに流れ、多重債務に陥った人がヤミ金に流れる構図でした。ところが最近は、この流れが逆流しています。
つまり、消費者金融会社で借りられなくなった人が銀行カードローンに流れる構図が目立ちます。金融庁が昨年、行った調査にその実態が見えます。


金利だけで月5万円…返せない 抵抗感薄い銀行からの借り入れ「サラ金から借りるほど落ちぶれてない」
http://www.sankei.com/premium/news/170629/prm1706290008-n1.html


昨年11月の金融庁の調査

 

昨年、11月に金融庁が全国7万人規模で銀行カードローン利用者についての調査を行ないました。その調査によりますと銀行カードローンを3年以内に利用したことがある人の回答として、借り入れ目的は以下の通りです。
①生活費不足の補填が41.8%で最多
②クレジットカードの利用代金不足を補うためが24.9%で2位、
③他の貸金業者への返済資金の不足を補うためが7.1%で3位でした。
また、調査の中で3年以内に貸金業者からも借り入れをした経験がある人は63.7%に上り、そのうち18%の人が消費者金融会社からの借入残高が年収の3分の1を超えていました。つまり、総量規制で消費者金融会社から借りられなくなった人が、改正貸金業法による「総量規制」から逃れるために銀行カードローンを利用している可能性が見えてきます。


従来の多重債務への流れが逆流している

 

従来の多重債務者の転落の構図は、銀行カードローン→クレジットカードキャッシング→消費者金融会社カードローン→ヤミ金という流れでした。ところが、総量規制が、この流れを逆流させています。
つまり、クレジットカードキャッシング→消費者金融会社カードローン→銀行カードローンという逆の流れで、最終的に債務整理できない人は思い余ってヤミ金に流れ込む構図です。


銀行カードローン営業現場に見えるモラルハザード

 

この様な逆流現象を助長しているのが、銀行カードローン営業現場のモラルハザードです。現在、銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、普通に考えれば消費者金融会社やクレジットカード会社や街の貸金業者に課されている消費者保護のための施策を当然のことながら銀行は守る筈です。
何故なら、本来、銀行は消費者金融会社やクレジットカード会社や街の貸金業者の模範となるべき存在だからです。ところが、現実には今回の調査で判明しただけでも、従来の銀行では考えられない融資態度が見えます。
例えば、「年収220万円の60代女性に500万円」融資した銀行や、「無収入だった50代男性に収入証明の提出を求めずに300万円」融資した銀行があることが判明しています。通常、銀行カードローンで500万円借りると金利が年率14%としても、金利だけで月に58,000円以上になります。つまり、上記の年収220万円の60代女性や無収入だった50代男性は、一生かかっても元本返済に至らないことは明らかです。それでも、融資する銀行の事情に一体、何があるのでしょうか?


金融機関に預金が集まり続けている現実

 

実は2017年3月末時点で銀行や信用金庫などの預金残高は過去最高の1,053兆円まで増加しています。日銀のマイナス金利政策で金利はほぼゼロにもかかわらず、中高年が虎の子の退職金や年金を預け続けていると見られます。
本来、銀行に集まった預金は銀行の貸し出しの原資ですが、銀行の最上位の得意客である大手企業も金余りで困っています。
また、貸し出しに回らないお金は余資と呼ばれ国債を中心に市場で運用される筈ですが、日銀のマイナス金利政策で10年物国債金利は0%前後に低下し、銀行も運用できない余剰資金を預金のまま抱え込むのが現実の姿です。
その様な環境下で銀行で唯一、伸びているのが住宅ローンとカードローンという訳ですが、利幅の少ない住宅ローンに比べるとカードローンの利幅は大きく銀行の収益源になっています。


銀行カードローンが多重債務の元凶に

 

しかしながら、このままでは銀行カードローンが多重債務の元凶と言われかねません。
既に、減り続けていた自己破産の申請件数が増加に転じるなど、多重債務者が増える兆候が見えています。
一方で、消費者金融会社のカードローン残高は減り続けており、唯一、増加の一途を辿る銀行カードローンに批判の矛先が向き始めています。ここは銀行業界の自主規制などの手ぬるい策に任せないで、法律で銀行カードローンも総量規制の枠内に入れる時期だと考えます。

 

規制の対象外、銀行カードローンの貸付が激増…弁護士「ヤミ金が再び増加する恐れ」
https://www.bengo4.com/c_1/n_6235/