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借金を考察するブログ

「債務整理の森」の執筆担当が借金ニュースについて考察するブログ

国債の売買が止まる日が来た

そもそも、どこの国でも債券市場で国債が売買されることで金利が決定し、さまざまな金融商品の利回り計算に活用されています。
最も一般的なのは住宅ローンで一般的な10年固定型の金利は、基本的に長期金利からはじき出されています。また、都や府県などの地方自治体が発行する地方債や企業が発行する社債も同じで、10年物国債国債の中でも取引高が最も多い代表格として「金利の中の金利」「経済の体温計」と考えられています。
その国債市場で5月1日月曜日から2日午後まで、およそ1日半にわたって値段がつかない異常事態が起こりました。東京株式市場で日経平均株価採用の225銘柄が全く値が付かず、全く日経平均株価の値が付かない事態と同じです。今、一体、日本の金利の中枢である債券市場で何が起きているのか考えます。


国債、値つかず1日半 長期金利「ゼロ」市場機能マヒ 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF02H0L_S7A500C1EA2000/


大規模な日銀の国債買い入れ

 

ゼロ金利政策の異次元の金融緩和策において、日銀が年間80兆円という驚異のペースで国債を大量に買入れています。国債の全発行残高に占める日銀の保有分は2013年4月の1割程度から足元は4割にまで拡大し、新規発行分については日銀がほぼすべてを買い入れているのが現状です。
その結果、日銀の持つ国債などの総資産は日本の国内総生産GDPの9割に相当する500兆円台に迫り、債券市場は日銀の「官製相場」となっています。

そもそも、市場とは何なのか?

 

現在の先進国の市場の最も大切なバックボーンは、民主主義であることに異論がある人は少ない筈です。仮に、市場原理主義の背景に民主主義が無ければ、投資家は安心して売買に専念することはできません。
その意味で最も先進的な市場と言えるのは、欧州と米国の株式市場や債券市場や為替市場と言えます。もともと、民主主義の発展に長い時間と犠牲を掛けた歴史があるからです。一方で市場の背景に民主主義が無い中国の株式市場に於いては、度々、当局の介入で投資家が不利益を受けていることは周知の事実です。また、ロシアにおいても国営企業や政府系企業の売買に不透明な部分が度々指摘されています。

一方で戦後の日本の市場も民主主義を背景にここまで発展してきた筈で、市場の規模や質は欧米の市場に肩を並べたと言っても良い筈でした。ところが、2013年から日銀の国債買い入れ金額が拡大の一途で、債券市場が少しづつ歪められてきました。
その結果、日本の債券市場のメインプレーヤーだったメガバンクや生保はすでに保有国債を大幅に減らしており、特に、主要生保10社は2017年度に国債の運用残高を約3兆円純減させる計画です。これらのメインプレーヤーが一度離れた市場に戻ることは難しいのが現実です。


国が発行する国債を日銀が買うことの意味

 

それでは、国が発行する国債を日銀が買うことに、一体、どの様な意味があるのでしょうか?もともと、国の財務省中央銀行である日銀は別物ですが、日銀は通貨である円の発行を担っています。したがって、国が発行する国債を日銀が買うということは、左手の国債を右手に移し右手のお金を左手に移す行為の様にも見えます。
つまり、国と日銀を1つとして見た場合、国債を発行しながら紙幣を刷っているとも言え、国は痛みを伴うことなく国債を発行し資金を予算の執行に充てることができます。
ただし、この行為には大きなリスクが潜んでいりことを歴史が教えています。


国の財政破綻にまっしぐら

 

第二次世界大戦後の日本はハイパーインフレと言われる事態に陥り物価は一時100倍にも跳ね上がったこともありましたが、このインフレになった大きな要因のひとつは国債の日銀引き受けであると言われています。
当時の政府は莫大な発行金額に及ぶ戦時国債のへの支払いなどに対応するため、国債日本銀行引き受けを行ない日銀はお金を刷って直接政府に支払った訳です。
その結果、市中にお金が溢れ生産力低下で商品は不足していたため物価は高騰し、お金の価値が急落して激しいハイパーインフレを引き起こしたのです。

一方、現在の日本は市中にお金が溢れていますが市中には商品も溢れ物価は上がりません。個人や企業はお金を持っていますが将来の不安からお金を使うことに意欲がありません。また、そもそも、国債の引き受けは、日銀が金融市場を通さずにお金を刷って国債を買い政府へ直接資金が渡ることを意味します。

一方、現在、行われている日銀の国債買い入れは、金融市場を通しているところが異なります。しかしながら、国の予算の3割以上を国債に頼る現実が、日銀の国債買い入れで好転する訳ではありません。

2015年4月1日現在の政府短期証券を含む日本全体の債務残高は1,388兆円に達しています。 その上、国債の売買が止まり金融市場が機能しなくなると、日銀の国債買い入れ国債の引き受けは大差なくなってしまう危険が出てきます。
いずれにしても、国際的な円の信認が保たれている内は心配ありませんが、国際的な円の信認が崩れると一気に金利が上昇しハイパーインフレを引き起こす危険が潜んでいます。今回、国債の売買が止まる日が来たということは、その様な危険に対する市場の警告と受け止めるべきです。

 

日銀の出口戦略のリスク
http://www.taro.org/2017/04/%E6%97%A5%E9%8A%80%E3%81%AE%E5%87%BA%E5%8F%A3%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF.php