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とうとう日弁連が銀行カードローンに規制を求めた

このところ世論の集中砲火を浴びる銀行カードローンですが、今度は日本弁護士連合会(中本和洋会長)が銀行「カードローン」が無担保で多額の貸し付けを行っている事に関し、「年収の3分の1超」にならないようにすることを求める声明を出しました。
日弁連は銀行「カードローン」が貸金業法の総量規制の規制外であることが多重債務の増加に繋がっていると指摘し、銀行「カードローン」も総量規制の対象に加えることを求めています。


銀行カードローン「貸付額規制を」 日弁連が声明
http://www.asahi.com/articles/ASK4S5GBPK4SULFA02C.html


日本弁護士連合会が銀行カードローンに規制を求めた背景

 

今回、日弁連が銀行カードローンに規制を求めた背景として次のポイントが考えられます。
1つ目は2006年の「貸金業法改正」以降、一昨年まで自己破産の申立件数は減り続けていましたが、昨年、減少のトレンドにピリオドが打たれ13年振りに対前年比で増加に転じました。日弁連では銀行「カードローン」が総量規制の規制外であることが一因と考えている様です。

2つ目は社会的な批判や2006年の「貸金業法改正」により大手消費者金融会社の売上高は2013年まで減少したのに対して、銀行カードローンの貸付残高は2010年から2016年の6年間で1兆8,500億円以上(+57.3%)増えています。このことも銀行「カードローン」が総量規制の規制外であることが一因と考えられます。

3つ目は銀行がカードローンで多額の利益を上げていることです。
特に、大手メガバンクは殆どコストゼロの資金をカードローンで貸し出すことにより、
年率2%~15%のカードローン金利を受け取っています。仮に平均で7%の金利を受け取っているとすれば、現在の預貸金利差は大き過ぎると言えます。


銀行収益を支えるカードローン

 

現在の銀行はゼロ金利政策の下で、全体的には預貸金利差が縮小し収益率は落ちています。その様な環境下で銀行の収益の柱は個人融資部門ですが、中でもカードローンの収益は飛び抜けて大きくなっています。
もう1つの柱である住宅ローンは貸付金利が下がっているのに対して、実質的なカードローンの適用金利はそれほど下がっていないからです。
例えば、銀行カードローンの適用金利は年率2%~15%などとなっていますが、最も貸付件数が多い100万円以下の適用金利は14%前後が多いからです。

したがって、平成28年末の国内銀行のカードローンの貸出残高は前年末より約1割多い5兆4,377億円に達していますが、仮に7%の金利とすれば実に3,806億円の粗利益を上げていることになります。10%とすれば5,437億円の計算になり、現在の預貸金利差は大き過ぎると言えます。


全国銀行協会の過剰融資の抑制に向けた申し合わせ内容

 

これに対して全国銀行協会は3月16日に、銀行の個人向けカードローンによる過剰融資の抑制に向けた申し合わせを行ったと発表しています。
このカードローン過剰融資抑制に向けた申し合わせの内容は、顧客の返済能力の正確な把握や行き過ぎた広告の防止が柱となっています。具体的には利用者の年収や他の貸金業者を含めた借り入れ状況などを正確に把握することや、高額の借り入れでも年収証明書が不要なことをアピールするような過剰な広告・宣伝の抑制などです。


銀行側はポーズだけなのは明らか

 

しかしながら、この全国銀行協会の過剰融資の抑制に向けた申し合わせの内容を見る限り、全国銀行協会の真のやる気を疑わなければなりません。
もともと、大手メガバンクのカードローン審査は系列の消費者金融会社やノンバンクに丸投げしている状態です。例えば、三菱東京UFJ銀行のカードローン「バンクイック」の保証会社は消費者金融最大手のアコムですし、三井住友銀行のカードローンの保証会社はSMBCコンシューマーファイナンスであり、みずほ銀行カードローンの保証会社はオリエントコーポレーションが行っています。
つまり、仮に利用者の年収や他の貸金業者を含めた借り入れ状況などを正確に把握したとしても、保証会社が審査にゴーサインを出したカードローンを断ることができるのでしょうか甚だ疑問です。また、仮に過剰な広告・宣伝を抑制したとしても、全国の主要な駅前の大きなカードローンの看板が無くなる訳ではありません。


銀行カードローンも総量規制の対象に加えること

 

それらの意味のない対策よりも必要かつ具体的対策は、銀行カードローンも総量規制の対象に加えることです。現在の片手落ちの体制を継続する限り消費者金融会社のカードローン残高は減少のトレンドを続け、銀行カードローン残高の増加は止まりません。
そして、現在の銀行カードローンの顧客の中から、将来、多重債務者が増え自己破産者が増えることは過去の歴史が教えています。
この様な小学生でも理解できる構図の中で金融庁が具体的な対策を怠るということは、
将来、金融庁の不作為の責任が問われなければなりません。ちなみに現在の金融庁長官は森信親氏ですので今後の動きが注目されます。
 

銀行カードローン、高額融資 80行「年収3分の1超」
http://www.asahi.com/articles/ASK4N5QMTK4NULFA030.html